【バックオフィス必読】2026年以降の都心5区オフィス再開発情報と失敗しない物件選定のポイント

はじめに:都心5区は「空室枯渇時代」へ
東京都心5区(渋谷区・港区・千代田区・中央区・新宿区)でオフィス移転や拠点見直しを検討しているバックオフィス担当者の皆様、現在のオフィス市場の動向を正しく把握できていますでしょうか。
三鬼商事の調査(2025年12月時点)によると、都心5区のオフィス空室率は2.22%まで低下しており、平均賃料は坪単価約21,409円と23カ月連続で上昇を続けています。オフィス市場において一般的に「自然空室率」とされる5%を大幅に下回る現在の水準は、完全な貸し手優位の「空室枯渇時代」と言えます。
2025年には過去最大級となる約119万㎡の大規模オフィス供給がありましたが、吸収需要(新規テナント入居面積)が約32万坪と強い需要を示したことで、既存ビルの募集床は品薄状態となっています。希望条件に合う物件を確保することが難しくなっている今だからこそ、最新の再開発動向を把握し、戦略的に移転を進めることが不可欠です。
1. なぜ東京都心5区で再開発が加速しているのか?
東京都心5区で大規模な再開発事業が相次いで進められている背景には、主に以下の3つの理由が存在します。
- 防災機能の強化: 東日本大震災を契機に都市の防災機能の整備が急務となりました。新築の大規模ビルは免震構造や非常用電源を備え、帰宅困難者の受け入れ機能も担っています。
- 国際競争力の強化: 外資系企業や優秀な人材を呼び込むため、虎ノ門・麻布台エリアや高輪ゲートウェイシティなどに代表される国際ビジネス拠点の開発が進んでいます。
- 築古ビルの更新需要: 高度経済成長期に建てられた築40年以上のビルが建替え時期を迎えており、ESG対応やカーボンニュートラルといった最新の環境・社会ニーズに応える設備への更新が進んでいます。
なお、2026年の新規供給量は約40万㎡にとどまり、2027年以降も供給減少が見込まれるため、当面は需給のひっ迫状態が続くと予測されています。
2. 【エリア別】東京都心5区の最新再開発動向と主要ビル
都心5区における各エリアの特徴と、注目の再開発・竣工予定プロジェクトをまとめました。
渋谷区:都心5区で最も空室率が低い人気エリア
IT企業やスタートアップが集積する渋谷区は、都心5区の中で最も空室率が低く、物件確保には早期の行動が求められます。「Shibuya Sakura Stage(2023年)」や「渋谷アクシュ(2024年)」に続き、2026年度には「(仮称)MITAKE Link Park」、2027年2月には「道玄坂二丁目南地区」、2029年度には「渋谷二丁目西地区」、2031年度には「渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期」が控えています。
港区:再開発の中心地と国際ビジネス拠点
2025年における大規模オフィス供給の約70%を占めるエリアです。「麻布台ヒルズ(2023年)」や「虎ノ門アルセアタワー(2025年2月)」のほか、2025年3月に街開きを迎えた「高輪ゲートウェイシティ(THE LINKPILLAR 1)」、「BLUE FRONT SHIBAURA タワーS(2025年9月)」、「TORANOGATE(2027年)」など、大型プロジェクトが相次いでいます。
千代田区:日本一の高さを誇るランドマークが誕生予定
金融・コンサルティング企業などの需要が根強く、賃料は都心5区で最高水準を維持しています。「TOKYO TORCH 常盤橋タワー(2021年)」や「大手町ゲートビルディング(2026年1月)」に続き、2028年6月末には地上62階・高さ約385mと日本一の高さとなる「Torch Tower」が竣工予定です。
中央区:八重洲・日本橋エリアの機能強化
東京駅周辺の機能強化と日本橋川沿いの景観整備が同時に進行しています。「東京ミッドタウン八重洲(2023年)」や「八重洲ダイビル(2025年6月)」に続き、2026年3月には「日本橋一丁目中地区(地上52階)」、2027年1月に竣工予定の木造オフィス「日本橋本町三井ビルディング &forest」が完成予定です。
新宿区:コストパフォーマンスに優れた選択肢
西新宿エリアを中心にビルの建替えが進んでいます。「東急歌舞伎町タワー(2023年)」のほか、2026年8月には「(仮称)西新宿一丁目地区プロジェクト」が竣工予定です。渋谷区や港区と比較して賃料が抑えめなため、コスト効率を重視する企業に適しています。
3. 空室枯渇時代を勝ち抜くための「オフィス移転戦略」
空室率2%台の市場環境下で希望に沿った移転を実現するためには、以下の戦略的アプローチが有効です。
①「玉突き空室」を狙う
大規模新築ビルが竣工すると、既存ビルから大型テナントが移転します。その退去に伴って周辺の中小ビルに発生する空室が「玉突き空室」です。大規模ビルの竣工3〜6ヶ月前(準備期間)や竣工直後、年度末・年度始めは玉突き空室が発生しやすいため、このタイミングを狙うのが効果的です。
②「居抜きオフィス」「セットアップオフィス」の活用
内装工事費(坪単価10〜30万円程度)や原状回復費用の負担を軽減できる物件タイプを選ぶことで、選択肢が広がります。
- 居抜きオフィス: 前テナントの内装・什器が残る物件。内装工事費を最大80%削減でき、入居までの期間を短縮できます。
- セットアップオフィス: オーナー側があらかじめデザイン性の高い内装を整備した物件で、原状回復費用が不要または軽減されます。
③ 移転を成功させる3つの運用ポイント
- 1年前からの情報収集: 玉突き空室の兆候を捉えるため、早めの準備を開始します。
- 仲介会社との早期連携: 公開前に成約に至るケースが増えているため、非公開情報を優先的に入手できる体制を作ります。
- 条件の柔軟化と即断即決: 隣接エリアも含めて並行検討し、条件に合う物件が出た際にすぐ動けるよう、事前に予算や必要面積を整理しておきます。
まとめ
三幸エステートの予測によると、東京都心5区の募集賃料は今後3年間で約11.5%上昇する見込みです。2027年に向けて需給のひっ迫が続くと予想される中、移転を成功させるには「玉突き空室」のタイミングを逃さず、居抜きやセットアップオフィスといった多様な手法を柔軟に取り入れることが鍵となります。
担当マーケターの視点から
マーケティングの視点から捉えると、現在の都心5区における「空室率2%台」という環境は、オフィス選定が単なる「総務的なコスト管理」から「企業のブランディングおよびインナーマーケティング(採用・エンゲージメント向上)」へと完全にシフトしたことを示しています。
激しい人材獲得競争が続く中で、どのような立地や環境にオフィスを構えるかは、企業の姿勢や成長性を求職者・ステークホルダーへ伝える強力なメッセージとなります。一方で、賃料上昇局面において無闇に固定費を膨らませることは経営リスクとなり得ます。
ここで注目すべきが「居抜き」や「セットアップオフィス」の存在です。これらは内装工事費を最大80%削減するというコスト面のメリットにとどまらず、洗練されたデザインや機能を初期費用を抑えて手に入れられるという「投資対効果の高さ」を誇ります。バックオフィス担当者の皆様には、単なる予算管理にとどまらず、オフィスの空間価値を自社のブランド価値へ還元させるマーケター的視点を持って、移転戦略を推進することが求められています。
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