【オフィス移転事例】TENTIALが実践する「出社したくなるオフィス」の創り方|成長フェーズに応じた立地選定とコンディショニングの環境設計

はじめに:オフィス移転は「作業場所の確保」から「出社価値の創出」へ

ハイブリッドワークが定着した現代において、バックオフィス担当者様にとって「自社に最適なオフィスとは何か」「社員が出社したくなる環境をどう作るか」は非常に重要なテーマです。

単に床面積を広げるだけでなく、自社のミッションや成長フェーズに合わせた立地選定と内装設計を行うことで、組織のパフォーマンスや採用力、ブランディングに大きな差が生まれます。

本記事では、リカバリーウェア「BAKUNE」などで知られるコンディショニングブランド・株式会社TENTIAL(テンシャル)の品川・御殿山オフィスへの移転事例を、ライフハッカー・ジャパンの取材記事(2026年10月20日公開)をもとに紹介し、バックオフィス担当者が知っておくべきオフィス移転戦略と空間づくりの仕掛けを解説します。

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1. 企業の成長フェーズと立地選定:TENTIALに学ぶ移転ストーリー

2018年の創業以来、従業員約250名規模・東証グロース上場企業へと急成長を遂げたTENTIALは、事業フェーズに合わせてオフィス移転を重ねてきました。その立地選定の軸は、バックオフィスの拠点戦略において非常に参考になります。

① 創業期〜スタートアップ期(渋谷・神泉〜円山町)

起業初期は、投資家(VC)との距離の近さやスタートアップコミュニティの熱気を活かすため、渋谷エリアが選ばれました。事業立ち上げ期における情報の集積とスピード感を最優先した立地選定です。

② ターゲットとの接近・コラボレーション期(原宿)

東京オリンピックを前に、選手やトレーナー、整体師などの専門家が集まる原宿へ移転しました。「アスリートが立ち寄りやすい場所」という事業テーマと直結した立地選定により、プロダクト開発に必要な関係性構築が推進されました。

③ コロナ禍・ものづくり強化・コスト最適化期(人形町)

コロナ禍におけるオフィス縮小を経て、本格的な「ものづくり」へ移行する段階で人形町へ移転しました。繊維関連企業や主要取引先が集まる神田周辺へのアクセスが良く、拡大期におけるコストパフォーマンスに優れた選択となりました。

④ ブランド構築・上場規模への拡大期(品川・御殿山)

全国への店舗展開が進み、顧客やアスリート、海外からのゲスト、地方店舗のスタッフなど多様な来訪者を迎えるフェーズにおいて、アクセス性と「オフィスの格」を両立できる品川・御殿山の「ガーデンシティ品川御殿山」が選ばれ、2024年3月に稼働を開始しました。重厚感のあるオフィスビル選びが、企業の信頼感やブランディングに直接寄与しています。

2. コンディショニングを体現するオフィスの空間設計

品川・御殿山の新オフィスにおいて、同社が掲げたコンセプトは「出社したくなるオフィス」です。ワンフロアの空間には、コンディショニング事業を展開する企業ならではの空間設計が散りばめられています。

企業の理念とプロダクトを体感できる「エントランス&ショールーム」

エントランスには、1本の線を折り返して「T」を描いた鉄板製のロゴが配置され、コンディショニングが続いていくことを表現しています。その先には直営店のようなショールームが広がり、自社製品に加え、契約アスリートのパネルやコラボアイテムを展示することで、来訪者へブランドの世界観を明確に伝えています。

社員の一体感とウェルネスを生む「パークエリア」

芝生が敷かれた開放的なスペース「パーク」は、仕事の合間のストレッチやリフレッシュだけでなく、全社ミーティングや新入社員のウェルカムパーティーの場としても活用されています。自然と集まり、交流が生まれる場として機能しています。

多様な働き方と自然な運動を促す「執務エリアの動線」

ワンフロアのフリーアドレス仕様(100席超)で、昇降デスクやボックス席、バーカウンターなど、体調や気分に合わせて選択できる多様な席が用意されています。さらに外周には幅のある通路が確保されており、執務の合間に自然と歩く動線が組み込まれています。

オープンな風土を象徴する「ポテンシャルルーム(社長室)」

社長室は「ポテンシャルルーム」と命名され、代表が利用していない時間帯は社員の会議室として開放されています。人の可能性を信じる同社の組織風土が、空間運用にも反映されています。

まとめ:バックオフィス担当者が押さえるべき移転成功のポイント

TENTIALのオフィス移転事例から学べる重要ポイントは以下の2点です。

  1. 賃料や面積だけでなく「事業フェーズや目的に合った立地」を選ぶこと
  2. 単なるデスク配置にとどまらず「社員の行動や意識に良い変化を与える仕掛け」を組み込むこと

オフィス移転を検討する際は、自社の現在地と未来のビジョンを整理し、「誰のために、どのような価値を生む空間にするのか」を明確に定義することが成功への第一歩となります。

担当マーケターの視点から

マーケティングの視点から捉えると、現代のオフィスは単なる作業インフラではなく、インナーブランディング(社員のエンゲージメント向上や採用力の強化)とアウターブランディング(顧客・パートナーへの信頼獲得やブランド価値の伝達)を同時に達成する「統合マーケティングメディア」へと進化しています。
TENTIALの事例は、自社ブランドが掲げる「コンディショニング」という価値定義を、まさにオフィスという空間自体で体現させた「ライブ型ショールーム」の好例です。エントランスでの世界観提示から、執務エリアでの歩行動線や昇降デスクの導入に至るまで、空間体験そのものがプロダクト価値の実証(エビデンス)として機能しています。
これからのバックオフィス担当者には、坪単価やアクセスといった従来の「コスト・スペック視点」に加え、「この空間が自社のブランドストーリーをどう社内外に伝播させるか」というマーケター的視点を持って移転プロジェクトを推進することが求められています。

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