ソフトバンクが2026年秋に新オフィス開設|BLUE FRONT SHIBAURA TOWER Sへの増床から読み解く、これからのオフィス移転戦略

ソフトバンクが2026年秋に新オフィスを開設 「出社したくなるオフィス」が企業競争力を左右する時代へ
ソフトバンクは2026年秋、東京都港区の大規模複合施設「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S(ブルーフロント芝浦 タワーS)」に新オフィスを開設することが明らかになりました。
今回の新拠点は、既存オフィスである「東京ポートシティ竹芝」からの移転ではなく、出社する社員の増加に対応するための「増床」という位置付けです。
コロナ禍を経てリモートワークが普及した一方、多くの企業では「対面で働く価値」が見直されています。今回のソフトバンクの判断は、今後オフィス移転を検討する企業にとって重要なヒントとなるでしょう。
本記事では、ソフトバンクの新オフィス開設の背景と、バックオフィス担当者がオフィス戦略を考える際のポイントを解説します。
出社増加に対応するための「増床」という選択
ソフトバンクによると、新オフィスは本社機能を移転するものではなく、社員の出社増加に伴うオフィス不足を解消するために新設されます。
現在の勤務制度は「原則週2日出社」です。ハイブリッドワークが定着したことで毎日全社員が出社するわけではありませんが、出社日が重なることでオフィスが混雑するケースが増えてきました。
そこで同社は、新たなオフィススペースを確保することで、社員が快適に働ける環境づくりを進めます。これは、「リモートワークがあるからオフィスを減らす」という考え方から、「必要な時に快適に集まれるオフィスを整備する」という発想への転換ともいえるでしょう。
社員の自発的な出社を促す狙い
ソフトバンクは、新オフィスを通じて、社員の自発的な出社を促し、社員のパフォーマンス向上や組織全体の成果最大化につなげる狙いだと報じられています。
オンライン会議は効率的ですが、偶発的なコミュニケーションやアイデア創出、新入社員の育成、部門を超えた交流などは、対面だからこそ生まれる場面も少なくありません。そのため、多くの企業ではオフィスを「仕事をする場所」ではなく、「コミュニケーションを促進する場所」として再定義する動きが進んでいます。
ソフトバンクも、新オフィスによって社員同士の交流を活性化し、組織全体の成果向上を目指しています。
新オフィスは社員体験を高める重要な投資
近年、多くの企業がオフィスへ投資する目的は、単なる執務スペースの確保ではありません。
重要視されているのは、「社員体験(Employee Experience)」です。社員が、出社したくなる、コミュニケーションが取りやすい、集中と交流を切り替えられる、快適に働けるetc…このような環境を整えることが、生産性やエンゲージメント向上につながると考えられています。
LINEヤフーは2026年4月から原則週3回出社に切り替え、同時期に本社オフィスを約2倍へ増床。Googleやコクヨも「体験価値」を重視したオフィス設計を進めています。
ソフトバンクの今回の取り組みも、その流れの一つといえるでしょう。
「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」が選ばれた理由
新オフィスが入居する「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」は、港区芝浦エリアで進む大規模再開発の中核施設です。
JR浜松町駅から徒歩約6分、都営大門駅から徒歩約8分、ゆりかもめ日の出駅から徒歩約6分と、羽田空港や品川方面への移動もしやすい立地です。オフィス・商業施設・ホテルに加え、2030年度竣工予定のTOWER Nには住宅も計画されており、職住近接を実現する新しい街づくりが進んでいます。
このような再開発エリアは企業ブランディングにも効果があり、採用活動や来客対応においてもプラスに働くケースが増えています。立地そのものが企業価値を高める時代になりつつあるといえるでしょう。
バックオフィス担当者が注目すべきポイント
今回のニュースから、総務や経営企画などオフィス移転を担当する部署が参考にすべきポイントは3つあります。
1. 出社率を前提にオフィス面積を見直す
全社員分の席を前提としない設計を採る企業が増えています。一方で、出社日が重なる曜日には十分な席数が必要です。実際の出社データを基に、最適な面積を検討することが重要です。
2. コミュニケーションを促す空間づくり
会議室だけではなく、ラウンジやカフェスペース、集中ブースなど、多様な働き方に対応できる空間が求められています。
3. オフィスを採用ツールとして活用する
求職者はオフィス環境も企業選びの判断材料にしています。魅力的なオフィスは採用競争力の向上にもつながります。
オフィスは「コスト」から「経営投資」へ
以前はオフィスを固定費として削減する動きが目立ちました。
しかし近年は、生産性向上や採用力強化、社員満足度向上を目的とした「経営投資」として捉える企業が増えています。
ソフトバンクが増床を選択した背景にも、「社員が集まり、価値を生み出す場」としてオフィスを活用する考え方があります。
今後オフィス移転を検討する企業にとっては、単純な賃料比較だけではなく、「どのような働き方を実現したいか」という視点からオフィスを選ぶことが重要になるでしょう。
担当マーケターの視点から
今回のソフトバンクのニュースで印象的なのは、「リモートワークが定着してもオフィス需要はなくならない」という点です。むしろ、社員が集まる機会をより価値あるものにするため、企業はオフィスへの投資を強化しています。これは、オフィスが単なるコストではなく、「人材採用」「社員エンゲージメント」「イノベーション創出」を支える経営資産へと変化していることを示しています。バックオフィス担当者は、賃料や面積だけで物件を比較するのではなく、「社員が出社したくなる環境か」「企業ブランドを高められるか」といった視点を持つことが重要です。今後は、ハイブリッドワークを前提としたオフィス設計がスタンダードとなり、企業ごとの差別化は立地だけでなく、そこで得られる体験価値によって決まる時代になっていくでしょう。
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