オフィスが手狭に感じるのはなぜ?|1人あたり面積調査に見る増床・移転の判断ポイント

「最近、オフィスが手狭になってきた」「会議室が予約で埋まって使えない」「席が足りず、社員が出社しづらい」──コロナ禍以降、オフィスの縮小や統廃合を進めてきた企業のあいだで、こうした声が聞かれるようになってきました。

その背景には、テレワークから出社回帰への流れがあります。ザイマックス不動産総合研究所の「1人あたりオフィス面積調査(2025年)」によると、東京23区における出社1人あたりオフィス面積は中央値4.7坪と、2021年以降減少が続き、過去最少を記録しました。

本記事では、2025年の最新調査データをもとに、オフィスの手狭化が進む背景と、バックオフィス担当者が増床・移転を判断する際に押さえておきたいポイントを解説します。

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東京23区の1人あたりオフィス面積|2025年調査で「出社」は4.7坪と過去最少に

ザイマックス不動産総合研究所では、オフィスの利用実態を把握するため、2008年から毎年アンケート調査を実施しています。

2025年の調査は4〜5月に実施され、同社グループが管理・運営するオフィスビルに入居する一般事業所用途のテナントを対象としています。有効データ数は「在籍」が1,209テナント、「出社」が1,177テナントです。

東京23区における「在籍1人あたりオフィス面積」は3.8坪で、前年から0.1坪増加しました。一方、「出社1人あたりオフィス面積」は4.7坪と過去最少を更新しています。

この背景には、テレワーク中心の働き方から出社回帰の流れが強まり、実際にオフィスに出社する人数が増加していることがあります。オフィスに在籍する社員数に対して、実際に出社する社員の割合が高まった結果、1人あたりで利用できるスペースが徐々に狭くなってきていると考えられます。

同研究所は、この傾向が続けば、オフィスの手狭感につながる可能性があると指摘しています。

オフィス移転のトレンド転換|「縮小」から「拡張・再設計」の時代へ

今回の調査結果から、企業のオフィス戦略にも変化が見えてきます。

テレワークが普及した当初は、出社人数が減ったことから、固定席を減らしたり、オフィス面積を縮小したりする動きが広がりました。しかし、出社回帰が進む現在は、縮小しすぎたオフィスが手狭になり始めているケースも出てきています。

今後は、単純に面積を減らすのではなく、「現在の出社人数に対して十分なスペースが確保できているか」「今後の採用計画に対応できるか」を含めた再設計が必要になります。

例えば、集中して作業できるスペース、Web会議用のフォンブース、複数人でコミュニケーションできる会議室、リフレッシュできるラウンジなど、目的に応じたスペースを確保することも重要です。

オフィス移転の際にも、「今の従業員数」だけでなく「1〜2年後の出社人数」まで見据えて必要な面積を判断する視点が求められています。

大阪も東京と同水準に|地方拠点のオフィス移転でも面積見直しが必要

今回の調査では、大阪市の「在籍1人あたりオフィス面積」が初めて3.8坪となり、東京23区と同水準になった点も注目されています。

同研究所は背景として、ひっ迫したオフィスマーケットのなかで、新規採用強化に伴う人員増が続いていることを挙げています。つまり、東京23区だけでなく地方主要都市においても、オフィスの手狭感が広がりつつある状況といえるでしょう。

全国に拠点を持つ企業であれば、東京と地方拠点で同じ基準を当てはめるのではなく、それぞれの出社状況や採用計画に応じて面積を検討することが重要です。

オフィスが手狭になったときのバックオフィス確認ポイント3つ

オフィスの手狭感を感じ始めたら、増床や移転を検討する前に、次の3点を確認しましょう。

① 現在の出社率と今後の見通し

在籍人数だけで必要面積を決めるのではなく、曜日別・部署別の出社率と、1〜2年後の採用計画を把握することが第一歩です。「毎日全員が出社するわけではないが、特定の曜日は席が足りない」といったピーク時の状況も可視化しておきましょう。

② 面積と機能のバランス

坪数を確保するだけではなく、会議室、集中スペース、交流スペースなど、社員が必要とする機能に面積を配分することが大切です。「面積は十分だが、会議室が足りない」というケースは意外と多く、レイアウトの見直しで解決できる可能性もあります。

③ 拡張余地のある物件選び

出社回帰による手狭感が今後も続く可能性を踏まえると、オフィス移転先を選ぶ際には、将来的な増床余地や、隣接区画との連結可否など、柔軟性を持てる物件を選ぶ視点も重要になります。

担当マーケターの視点から

今回の調査で特に興味深いのは、「オフィス面積を減らすこと」を主軸としてきた企業戦略が、転換期を迎えつつある点です。テレワーク定着期には縮小方向で語られてきたオフィス面積が、出社回帰の流れのなかで再び手狭に感じられるようになってきています。これは企業にとって、単純に「元に戻す」のではなく、社員が出社したときに高いパフォーマンスを発揮できる環境をどう再構築するかが問われるフェーズに入ったといえるでしょう。オフィスを「固定費」ではなく、「採用・生産性・エンゲージメントを高めるマーケティング投資」と捉える視点が広がるなか、これから移転を検討する企業にとっては、現在の人数だけでなく「これから何人がオフィスに戻ってくるのか」までを見越した物件選定が、より重要な指標になりそうです。


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