長瀬産業が東京本社を建て替え|16社・約1,500人が集う新たなワークプレイスとは?

長瀬産業株式会社は、東京都中央区日本橋小舟町の東京本社社屋の建て替えを進めていましたが、2026年9月に工事および移転を完了しました。2026年10月5日から新社屋での業務を開始しています。
今回の新社屋では、これまで複数のビルなどに分散していたグループ拠点を集約。長瀬産業を含むNAGASEグループ16社、約1,500人の従業員が一つのビルで働く、新たなワークプレイスが誕生しました。
オフィス移転を検討する企業にとっても、単純な床面積の拡大ではなく、「グループ間の連携」「働きやすさ」「地域とのつながり」「環境性能」をどうオフィスに取り込むかという点で参考になる事例です。
地上14階・延床面積約2万6,000㎡の新社屋
新東京本社は、地上14階・地下2階、建物高さ約63m、延床面積約26,338㎡の規模です。構造は鉄筋コンクリート造・鉄骨造となっています。
所在地は建て替え前と同じ東京都中央区日本橋小舟町5番1号です。長年利用してきた土地を離れるのではなく、既存の立地を生かしながら、本社機能とワークプレイスを刷新しています。
オフィス移転では「移転=別のエリアへ引っ越す」というケースが一般的ですが、今回のように立地そのものを維持し、建物や働く環境を一新する方法もあります。
特に、従業員の通勤や取引先との関係、地域とのつながりなどを維持しながらオフィス環境を改善したい企業にとって、一つの選択肢となるでしょう。
16社・約1,500人を集約して「One NAGASE」を実現
今回の新社屋で特に注目したいのが、グループ会社16社、約1,500人の従業員を一つのビルに集約する点です。
長瀬産業では「One NAGASEで新しい価値を創造する」ことを掲げ、「一体感」「共創」「強い個」「ワクワク×イキイキ環境」という4つのワークプレイスコンセプトを設定しています。
複数の会社や部署が同じビルで働くことで、これまで物理的に離れていた社員同士が交流する機会を増やし、グループ内の情報共有や新たなアイデアの創出につなげる狙いがうかがえます。
オフィス移転を検討する企業にとっても、単純に「何人収容できるか」だけではなく、「誰と誰が交流するのか」「どのようなコミュニケーションを生み出したいのか」を考えてレイアウトや共用スペースを設計することが重要になっています。
1階には地域交流スペース「NAGASE KOBUNACHO HIROBA」
新社屋の特徴は、社員が働くための空間だけではありません。
1階にはカフェを併設した地域交流スペース「NAGASE KOBUNACHO HIROBA」を設置。NAGASEグループを知ってもらうためのゲームなどのコンテンツを展示するほか、日本橋小舟町の歴史・文化を紹介する展示コーナーも設けています。
さらに、日本橋小舟町町会が所有する大神輿も常設展示される予定です。
企業の本社というと、従業員や取引先だけが利用する閉じた空間をイメージしがちです。しかし、地域に開かれたスペースを設けることで、企業と地域住民との接点を生み出せます。
オフィスを「働く場所」だけではなく、「企業と社会をつなぐ場所」として捉えている点は、これからの本社移転を考えるうえでも参考になるでしょう。
環境性能にも配慮したオフィス
新社屋では、環境に配慮した外装・内装に加え、省エネルギーや省資源に寄与する技術・設備システムを導入しています。
また、敷地内には緑豊かな歩道を含む公開空地を整備。建物の環境性能については、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)の最上位であるSクラスを取得しています。
近年のオフィス移転では、賃料やアクセス、面積だけでなく、環境性能や従業員の快適性も重要な判断材料になっています。
特に大企業では、環境・社会への配慮を企業活動にどう組み込むかが問われています。環境性能の高いオフィスは、企業のサステナビリティへの姿勢を社内外に示す場としても機能します。
オフィス移転は「働く環境」から「企業の価値を生む環境」へ
長瀬産業の新東京本社は、グループ会社の集約による一体感や共創、社員が快適に働ける環境、地域との交流、環境性能など、複数の役割を持つワークプレイスとして設計されています。
オフィス移転を検討するバックオフィス担当者にとっては、移転目的を「古いビルから新しいビルへ移る」という設備更新だけに限定しないことが重要です。
「社員同士の交流を増やしたい」「グループ会社間の連携を強化したい」「採用や企業ブランディングにつなげたい」「環境負荷を低減したい」など、自社が抱える課題を明確にしたうえで、それを実現できるオフィス環境を設計することが求められます。
長瀬産業の新東京本社は、こうした現代のワークプレイスに求められる機能を考えるうえで、参考になる事例といえるでしょう。
担当マーケターの視点から
今回の長瀬産業の新社屋で興味深いのは、「オフィスをコストではなく、企業価値を生み出すマーケティング資産として捉えている」点です。
16社・約1,500人を集約することで、物理的な距離を縮めるだけでなく、「One NAGASE」というグループとしての一体感をつくる。さらに、地域交流スペースやカフェを設けることで、地域住民との接点までオフィスの役割を広げています。
これは、企業ブランディングの観点でも重要です。求職者がオフィスを訪れれば働く環境そのものが企業文化を伝え、取引先にとっては企業の姿勢を体験できる場所になります。さらに環境性能の高さは、サステナビリティへの取り組みをリアルな空間として表現できます。
今後のオフィス移転では、「何坪借りるか」だけでなく、「その空間でどんな企業価値を生み出すか」という視点が、より重要になっていくのではないでしょうか。
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