「今日からオフィス移転よろしく」と言われたあなたへ!段取りと落とし穴まとめ

「今日からオフィス移転よろしく」と言われたあなたへ!段取りと落とし穴まとめ

「突然ですが、オフィスの移転、お願いします」

ある日、上司からの一言で始まったオフィス移転プロジェクト。
総務歴はそこそこあるけれど、本格的な“オフィス移転のリーダー”は初めて。物件選び、レイアウト、業者選定、引越しスケジュールに予算管理……。想像していたよりも、やることは山ほどある。

「何から手を付ければいいんだろう?」
「他社はどうやって進めてるの?」
「これって本当に、自分で全部できるのかな……?」

そんな不安や疑問に応えるために、この記事では、オフィス移転に必要な準備・手順・注意点をステップ形式でわかりやすく解説します。移転をきっかけに、社内の働き方や生産性、ブランディングまで高めるチャンスにするために。このガイドを参考に、最初の一歩を踏み出してください。

まずは全体像をつかむ:オフィス移転ってどこから始める?


オフィス移転は、単なる「引越し作業」ではありません。経営判断・社員対応・設備投資など、多くの領域が絡み合う総合プロジェクトです。そのため、進め方に正解はないものの、「おさえておくべき手順」は存在します。まずは、全体像をざっくり把握するところから始めましょう。

オフィス移転で予めおさえておくべきこと:

  1. 移転の目的と背景を明確する
  2. 現オフィスの課題を洗い出す
  3. プロジェクトチームを結成する
  4. スケジュールを逆算で組み立てる
  5. 物件選定の前に、条件を固める
  6. 内装・レイアウト設計は「働き方」から考える
  7. ICT・ネットワーク環境は早めの準備が肝心
  8. 社員説明と引越し準備を円滑に進める
  9. 引越し当日の動きと原状回復の範囲をチェック

どのステップも重要ですが、最初の「目的整理」や「チーム編成」を疎かにすると、あとで必ず苦労します
では、順を追って見ていきましょう。

STEP1:移転の目的を明確にする

「うちもそろそろ移転かな」
そんな漠然とした話から始まるケースも多いですが、まず必要なのは“なぜ今、移転するのか?”という目的の明確化です。

よくある移転目的:

  • 社員数の増加によるスペース不足の解消
  • 老朽化した設備や環境の改善
  • ブランディングや来客対応を意識した立地変更
  • フリーアドレスやハイブリッドワーク対応の環境整備
  • BCP(災害対策)としての拠点分散

これらの目的は、移転先の物件条件や内装設計に直接影響します。また、プロジェクトの意思決定の基準としても機能するため、あいまいにしないことが重要です。

STEP2:現オフィスの課題を洗い出す

新しいオフィスで“何を変えたいのか”を知るには、今のオフィスで困っていることを明確にすることから始めましょう。

よくある課題の例:

  • 会議室が不足している
  • 空調・トイレなどの設備が古い
  • 収納スペースが足りない
  • エントランスや受付が手狭で来客対応に困る
  • 社員の座席が固定で、柔軟な働き方に対応できない

また、可能であれば社員アンケートや部門ごとのヒアリングも実施してみましょう。
現場のリアルな声を集めることが、移転成功のカギになります。

STEP3:プロジェクトチームを結成する

オフィス移転は、総務担当者ひとりで抱えるにはスケールが大きすぎます。成功のためには、部門横断型のプロジェクトチームを編成することが不可欠です。

よくある失敗例:
「とりあえず総務だけで進めよう」とした結果、
・IT部門に事前相談がなくネットワークがつながらない
・人事部門との調整不足で、引越し日が休暇取得と重なる
・営業部門が新レイアウトに不満を持つ
といったトラブルが発生し、結果的にやり直しやクレーム対応で工数が倍に。“チームをつくること自体が時短になる”という意識を持つことがポイントです。

基本的な構成メンバー例:

  • 総務(リーダー役/全体統括)
  • IT(ネットワーク・電話・サーバー類の移設担当)
  • 人事(社員対応、座席配置、労務観点の調整)
  • 経理(予算・契約・支払い処理)
  • 営業・マーケティング(来客動線や使い勝手の視点)

チームが決まったら、定例ミーティングと情報共有のルールを整えることも忘れずに。GoogleスプレッドシートやBacklogなど、誰でも進捗を確認できる状態を作りましょう。

STEP4:スケジュールを逆算で組み立てる

移転プロジェクトにおいて、「いつまでに、何を終えるか」を見える化するスケジューリングは非常に重要です。逆に言えば、ここを曖昧にしたままだと、トラブルが連鎖的に発生します。

まず決めるべき“ゴール”:

  • 引越し完了日(新オフィスで業務スタートする日)
  • 現オフィスの原状回復完了日(契約終了期限)

そのうえで、必要な工程を逆算していきます。

スケジュールに入れるべき主なマイルストーン:

  • 物件契約・入居日
  • 内装工事の設計・施工スケジュール(約1.5〜2ヶ月)
  • 什器・家具・OA機器の発注と納品
  • ネットワーク・電話回線などの工事日
  • 荷造り・引越し日程の確定
  • 社員向け説明会・FAQ対応

余裕のあるスケジューリングが最大のトラブル回避策です。「1週間の予備期間」をどこかに設けるだけでも、想定外の納期遅れや工程ズレへの対応力が高まります。スケジュールはGoogleカレンダー・Excelでも可ですが、関係者が多い場合はNotionやガントチャートツールの利用が便利です。

STEP5:物件選定の前に、条件を固める

「まずは物件を見に行こう!」と考える方も多いのですが、事前に「理想条件」を言語化しておくことが重要です。

チェックすべき条件例:

  • 必要な坪数(現在+将来の増員分も見込む)
  • 立地・アクセス(駅近、沿線、来客のしやすさ)
  • 建物の築年数・セキュリティ・空調・天井高
  • 共用部(トイレ・給湯・EV)と賃料バランス
  • B工事の条件・指定業者制の有無

特に見落としがちなのが、内装工事に関するビル側の制約です。
ビルによっては「オーナー指定業者によるB工事」が必要となり、費用やスケジュールに大きく影響します。不動産会社に内見を依頼する際は、内装や工事関連の相談ができるパートナーを選ぶと、後の手間がぐっと減ります。

STEP6:内装・レイアウト設計は「働き方」から考える

物件が決まったら、次は「どんなオフィスにするか?」という設計フェーズに入ります。
見落としがちですが、ここは単なるインテリアの話ではありません。社員の働きやすさやチームの生産性を左右する、移転の要ともいえるステップです。

まず考えるべき視点:

  • 固定席 or フリーアドレス
  • 会議室の数と広さ(Web会議対応も含め)
  • 集中・雑談スペースのゾーニング
  • 収納やロッカーの配置・数
  • 来客スペースの導線(受付〜応接)

ここでのミス例:

  • 人数分の席は確保したが、会議室が足りない
  • 複合機やプリンタがフロアの端で使いにくい
  • 配線計画が甘く、ケーブルが露出して見栄えが悪い

内装は一度作ってしまうと、変更にはコストがかかります。レイアウトは業者任せにせず、社内アンケートや部門ごとのヒアリングも交えて慎重に検討しましょう。

STEP7:ICT・ネットワーク環境は早めの準備が肝心

移転先では、インターネットや電話などの通信環境をゼロから構築する必要があります。しかしこの作業、想像以上に時間と調整がかかります。

注意点:

  • インターネット回線の開通には最短でも2〜3週間、場合によっては1ヶ月以上かかる
  • 電話番号の移設には手続きと時間が必要(番号変更のリスクもあり)
  • Wi-Fiの強度やセキュリティ対策も必須

また、セキュリティ観点からも、VPN、ファイアウォール、PC端末の管理体制をあらためて見直すタイミングでもあります。

IT部門との連携は必須。
早い段階で「どの業者に頼むか」「いつ開通できるか」を明確にしておきましょう。ネットがつながらなければ、どんなに内装が立派でも業務はストップします。

STEP8:社員説明と引越し準備を円滑に進める

オフィス移転では、社員の協力が成功のカギを握ります。
だからこそ早め・こまめな情報共有と丁寧な周知が欠かせません。

社員向けに伝えるべき情報:

  • 新オフィスの所在地・アクセス
  • 引越し日とその前後の勤務体制
  • 荷物整理・梱包のルール
  • 新しい座席やルール(フリーアドレス等)

できれば社内イントラや社報、朝礼などで定期的に進捗報告を行い、社員が「知らない」「聞いてない」とならないように。

おすすめ施策:
・新オフィスのパースや写真を掲示して、ワクワク感を演出
・引越し当日の“運営チーム”を社内から募集(自発的な参加が期待できます)
・よくある質問集(FAQ)をまとめておくと、問い合わせ対応がラクに

STEP9:引越し当日の動きと原状回復の範囲をチェック

いよいよ移転当日。この日をスムーズに終えるには、事前準備と役割分担がすべてです。

当日よくあるトラブル:

  • 鍵やカードが渡されておらず入室できない
  • ネットがつながらず業務が開始できない
  • 届いた家具・什器の配置が間違っている

事前にやっておきたいこと:

  • フロアごとの入退室権限の設定とカード配布
  • 引越し業者との詳細な搬入計画
  • 立ち会い担当を決め、現地でリアルタイム対応

引越しが終わった後は、旧オフィスの「原状回復工事」も忘れずに。契約上、どこまで戻す必要があるのかはビルごとに違います。内装材の撤去、クリーニング、配線撤去など、明け渡し検査の日程も事前に確認しておきましょう。

オフィス移転前にやること:成功の8割は“事前準備”で決まる


オフィス移転は、業務の合間にこなせるような小さなタスクではありません。むしろ、「準備の質」が移転プロジェクト全体の成否を分けると言っても過言ではないでしょう。この章では、実際に移転プロジェクトを任された総務担当者が、どのような事前準備を進めていくべきかを具体的に解説します。
初めての移転でも慌てず、一つひとつを丁寧に進めることが、スムーズな本番を実現する最大の近道です。

1. 物件選定と契約:最初にして最重要ステップ

オフィス移転で最も大きな決定となるのが「どの物件を選ぶか」です。
立地、コスト、将来の拡張性──そのすべてが、今後数年間の働き方を左右します。

立地条件の確認ポイント:

  • 最寄駅までの距離と交通アクセスの良さ
  • 社員の通勤負担が軽減されるか
  • 周辺に飲食店、コンビニ、銀行などの生活利便施設があるか
  • 地震リスクや浸水被害など、災害面の安全性
  • 将来の再開発や地価の変動リスク

また、契約時には「入居可能日」「原状回復条件」「工事制限(B工事)」なども詳細に確認し、内見時の印象だけで判断せず、現場・契約・将来を多角的に評価することが重要です。

2. 内見と評価:プロジェクトチーム全員で確認する

物件の内見には、必ずプロジェクトチームのメンバーで参加しましょう。それぞれの専門視点から見て初めて、移転後に困らない判断ができます。

チェックすべきポイント:

  • フロアの形状(柱や梁、動線の妨げにならないか)
  • コンセントやLANポートなど、配線設備の位置と数
  • 空調や照明の調整が各ゾーンで可能か
  • エレベーターの数・積載量(引越し作業に影響)
  • 自然光の入り方、防音性、トイレや共用部の清潔感

評価は主観に偏らず、部門ごとにチェックリストを用意しておくと安心です。

3. 業者選定と原状回復確認:事前の“見える化”が命

引越し業者・内装業者・ネット回線業者・オフィス家具の手配業者……移転には複数のパートナー企業が関与します。だからこそ、業者選びは価格だけでなく「信頼性」と「実績」で選びましょう。

業者選定のコツ:

  • 最低3社以上の相見積もりを取得
  • 過去のオフィス移転実績が豊富な会社を優先
  • 不動産や内装の知識を持った“総合対応型”の会社もおすすめ
  • 見積りに含まれる作業範囲(梱包・ラベル貼付・PC設置など)を精査

同時に、現オフィスの原状回復工事の条件確認も忘れずに。契約書をもとに、どこまで戻せばよいのか(クロス・床・配線など)を明確にし、退去直前で慌てないよう、早めにスケジュールを押さえておきましょう。

4. レイアウトと内装計画:社員の声を取り入れる

オフィス環境は社員のパフォーマンスに直結します。だからこそ、レイアウトは“経営陣の好み”ではなく“現場の使いやすさ”を第一に設計すべきです。

レイアウト計画の視点:

  • 部署間の動線・連携をスムーズにできる配置
  • 集中エリアと雑談・休憩スペースのゾーニング
  • 会議室・Web会議ブースのバランス
  • 自然光・空調の快適性を活かした配置
  • 収納・ロッカーの位置と容量

アンケートやヒアリングを活用し、社員の意見をきちんと反映させることで、移転後の満足度が大きく変わります。

5. 内装工事の手配とチェック:見積もりより「信頼できる進行管理」

設計が決まったら、内装工事業者を選定し、具体的な施工に移ります。

進め方の基本:

  • ビル側に施工ルールや届出書類を事前確認(夜間作業不可など制限あり)
  • 業者選定時は施工実績、柔軟な対応力、コミュニケーションの取りやすさを評価
  • 設計図は「設備・配線・空調」まで詳細に
  • スケジュールはゆとりを持ちつつ、工程表を可視化
  • 中間検査と最終検査で、細部までチェック

特に照明・コンセント・ネット配線まわりの“使い勝手”は、社員の満足度を大きく左右します。設計図段階で使いにくそうな点があれば、遠慮せず修正を依頼しましょう。

オフィス移転直前にやること:トラブルゼロで当日を迎えるために


いよいよオフィス移転本番が目前に迫る中、総務担当者にとって最も大切なのは、“抜け漏れ”のない最終確認です。準備段階では見えてこなかった細かい業務やトラブルの芽が、移転直前になって一気に浮かび上がります。この章では、家具・ICT・セキュリティ・社内周知・行政手続きなど、移転当日に備えて直前にやるべきことを具体的に整理しました。

家具・什器の調達と配置:届いてから焦らないために

新オフィスのレイアウトが決まったら、家具や什器の調達・納品スケジュールを最終確認しましょう。
椅子やデスク、ロッカーなどの基本什器に加えて、必要に応じて以下のようなアイテムも検討が必要です。

チェックリスト例:

  • 受付カウンター・サイン類
  • 会議室テーブル・チェア・モニター
  • 書庫・パーティション・ラック類
  • 観葉植物・空気清浄機
  • 文具・備品・防災グッズ

設置当日にバタつかないためには、「どの家具を誰がどこに置くか」を事前に割り振っておくことが重要です。納品日と引越し日が近い場合は、物流・搬入の導線やエレベーターの使用時間なども管理会社と調整しておきましょう。

ICT・セキュリティシステムの導入:業務再開の土台を固める

ICT環境とセキュリティの整備は、オフィス移転後すぐに業務を開始するための要です。ネットがつながらない、セキュリティが不完全──そんな状態では、移転の意味が半減してしまいます。

直前に確認すべきICT事項:

  • インターネット回線が予定通り開通しているか
  • Wi-Fiのエリアマップ通りに通信できるか
  • 電話・複合機の設定・番号切替が完了しているか
  • 各PC・端末がネット・社内サーバーに接続できるか

特にファイアウォール・ウィルス対策・VPN設定は、セキュリティ面でも要チェック項目です。すべてが設定完了した段階で通信テストを実施し、不具合があれば本番前に解決しましょう。

サーバー・ネットワークの最終確認

オンプレミスのサーバーを使用している企業は、サーバールームの設置と運用条件も最終点検が必要です。

確認ポイント:

  • サーバーラックの設置環境(温度・通気性・床荷重)
  • UPS(無停電電源装置)・非常用コンセントの有無
  • バックアップデータの取得
  • LAN・VLAN構成図が最新のものと一致しているか

一度でも通信トラブルが起きると、業務全体が停止するリスクがあるため、IT部門との緊密な連携が不可欠です。

セキュリティの見直し:物理・情報ともに“多重防御”が基本

移転にともない、オフィスの物理セキュリティも刷新するケースが多く見られます。入退室管理の強化、監視カメラの設置、IDカード発行など、今後のオフィス運用の安全性を高めるタイミングです。

チェックリスト:

  • ICカードやスマートキーの配布と権限設定
  • 監視カメラの設置場所と録画環境
  • 受付対応の体制(有人・無人化・QR受付など)
  • セキュリティポリシーの更新と社内周知

特に「誰が、いつ、どこに出入りできるか」は明文化しておくと、緊急時の対応がスムーズになります。

関係者への連絡と社内・社外への周知

意外と後回しにされがちなのが、移転に関する社内外への情報共有です。しかし、これを怠ると“知らなかった”によるトラブルが多発します。

社内向けに伝えるべき情報:

  • 移転日とその前後の勤務スケジュール
  • 新オフィスの住所・アクセス・フロア情報
  • 引越しに関する自席荷物の梱包ルール
  • 引越し当日の出社・在宅などの働き方

社外向け(取引先・顧客)には:

  • 移転通知文(メール・郵送・FAXなど)
  • 業務に影響が出る期間の明示
  • 新住所・代表番号・アクセス地図の送付

移転は一種の「企業の顔が変わるタイミング」。信頼を損なわないためにも、丁寧な案内を心がけましょう。

行政手続きと法的届け出:見落としが意外と多い

移転には法務・税務・社会保険・公共インフラなどの“変更届出”が必要です。これを怠ると、法令違反や業務停止などのリスクに発展する可能性もあります。

主要な届け出・手続き一覧:

  • 本店移転登記(法務局)
  • 税務署・年金事務所・労働基準監督署への住所変更
  • 健康保険組合、雇用保険の事業所変更
  • 電気・水道・ガスなどの契約変更・精算
  • 消防署、自治体、警察署への届け出(必要な場合)

手続きは担当部門だけで完結させず、進捗管理表で見える化し、期限を守って確実に実施しましょう。

オフィス移転当日にやること:混乱を防ぐ“当日の指揮官”としての役割


ついに迎えたオフィス移転当日。
ここまで綿密に準備をしてきたとしても、当日の現場対応が甘ければ、社員の不満やトラブルが一気に噴き出すのも事実です。この章では、移転当日に総務・管理部門が果たすべき3つの役割──搬入・設置作業の立ち合い、旧オフィスの原状回復、プロジェクト全体の進捗管理──を具体的に解説します。

搬入・設置作業の立ち合い:現場は“段取り8割・確認2割”

移転当日は、朝から新オフィスへの家具・機器の搬入がスタートします。
まず重要なのは、搬入作業のスケジュールと導線をすべて把握していること。ビルの管理会社と調整した搬入時間、エレベーターや共用部の使用制限、養生範囲なども再確認しましょう。

主な作業と確認ポイント:

  • 什器(デスク・チェア・キャビネット)の搬入と設置位置の確認
  • 会議室や受付など、空間ごとの配置チェック
  • パーテーション・ロッカー・棚類の安全な固定
  • 複合機・サーバー・ルーターなどIT機器の設置と通電

各業者には、誰が責任者で、どの時間に何を行うかを事前に割り振っておくとスムーズです。
当日はあちこちで「これ、どこに置きますか?」と聞かれる場面も多くなるため、図面・レイアウト表・設置指示書を必携にしておきましょう。

旧オフィスの原状回復確認:忘れがちな“立ち会いと証明”

同時進行で進むのが、旧オフィスの原状回復作業です。これは単なる清掃ではなく、契約で定められた仕様にきちんと戻すという厳密な作業。見落としがあると、後日追加請求の原因になります。

チェックすべき項目:

  • 壁紙・クロスの補修または全面張り替え
  • タイルカーペットの交換またはクリーニング
  • パーテーションや看板、配線の完全撤去
  • 天井照明・ブラインドなどの仕様確認
  • スイッチ、換気扇、空調リモコンなどの動作確認

完了後には管理会社・オーナーと立ち会い検査を行い、「完了報告書」または「確認書」を取得しましょう。
これが後々のトラブル回避につながります。

移転プロジェクトの進捗管理:全体を見渡す“司令塔”になる

当日の最大の役割は、全体進捗の見える化とトラブル対応です。
どこで何が行われていて、何が完了していないか──それをリアルタイムで把握できるようにする必要があります。

対応すべきタスク例:

  • 搬入作業の進捗確認(業者・フロア別)
  • ネットワーク接続テストの完了確認
  • 予定外の搬入物の追加指示・調整
  • 社員からの問い合わせ窓口対応
  • 各部門のチェックリスト完了報告の回収

「困ったときは誰に聞けばいいか」を社内外で事前共有しておくと、現場での混乱が防げます。また、不測の事態(機器の不良・納品遅延・業者の連絡ミスなど)も発生する前提で、代替案や現場裁量の判断基準も事前に持っておくと安心です。また、すべての設置が終わっても、社員が安心して業務に入れる状態でなければ意味がありません。当日は、以下のような社員へのフォロー対応も必要です。

  • 座席番号・会議室予約システムなどの利用方法案内
  • Wi-Fiや複合機の利用初期設定のサポート
  • 不明点の問い合わせ窓口の設置

新しいオフィスは“これから何年も働く場所”です。その初日が混乱で始まるか、歓迎ムードで始まるかで、定着や評価が大きく変わります。

移転後にやること:新しい環境でのスタートを“成功のかたち”に整える


オフィス移転が完了しても、それで終わりではありません。
むしろ本当の意味での「成功」は、移転後に業務が問題なく機能し、社員が快適に働けるかどうかにかかっています。この章では、移転完了後に総務担当者が取り組むべき最終確認と、社員フォローアップのポイントを解説します。“やりきった”ではなく“立ち上がった”という意識で、最後の仕上げを丁寧に進めましょう。

新オフィスでの最終確認:細部まで整ってこそ、移転は完成する

引越し後、最初に行うべきは新オフィス内の最終チェックです。「見た目」だけでなく、「使い勝手」や「安全性」まで含めて、以下の点を入念に確認しましょう。

チェックポイント:

  • 家具・什器の配置:部署ごとの配置や動線に問題がないか。座席や会議室の使い勝手に不満が出ていないか。
  • ICTインフラ:インターネット接続、社内サーバー、電話、複合機などすべての動作確認。
  • セキュリティ:ICカードや監視カメラ、入退室管理システムが正常に稼働しているか。
  • 内装・外装:仕上がりに不具合がないか。エントランスや会議室など、来客エリアの印象もチェック。
  • 法的手続き:登記変更や各種行政届出が完了しているか。証明書の取得まで確認。

チェックリスト形式で記録を残しておくと、後日の修繕や保証対応の際にも役立ちます。

社員のフォローアップとエンゲージメント向上:心地よいスタートをサポートする

慣れない環境への移行は、社員にとって少なからずストレスになります。だからこそ、移転直後の“心理的サポート”と“環境適応支援”が重要です。

具体的なアプローチ:

  • 定期的なフィードバック回収:移転後1週間・1ヶ月を目安にアンケートや意見聴取を実施。
  • チームビルディング施策:新しい空間でのランチ会やフロアツアー、懇親会などを実施。
  • 健康面の配慮:自然光・温湿度管理・エルゴノミクスチェアの再調整など。
  • 感謝と評価:移転プロジェクトに関わったメンバーや協力した部署へ、表彰・インセンティブを。
  • 操作・ルールの再周知:会議室予約やロッカー利用、備品のルールなどを丁寧に共有。

「移転してよかった」と社員に感じてもらえるかが、この段階の最大の目的です。

まとめ:オフィス移転は“変化”から“成果”へつなげるプロセス


オフィス移転は、コストも手間もかかる一大プロジェクト。
ですが、その先には働き方の進化、組織文化の再構築、生産性の向上といった大きな価値が待っています。

これまでのポイントを振り返ると:

  • まずは目的と課題の明確化から始め
  • プロジェクトチーム結成スケジュール設計
  • 物件・業者選定、内装設計、家具・ICTの手配
  • 移転前の社内周知と関係者対応
  • 当日の指揮原状回復
  • そして移転後の最終確認と社員サポート

これらを段階的に、確実に進めていくことで、オフィス移転は単なる引越しではなく、企業の成長を加速させる機会へと変わります。

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