【2026年版】東京23区オフィス市場動向|空室率2.3%まで低下、今後5年の供給予測と移転戦略を解説

東京23区オフィス市場は活況継続 吸収量は過去3番目の高水準に

森ビル株式会社が発表した「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2026」によると、東京23区のオフィス市場は引き続き堅調な需要を維持していることが明らかになりました。特に注目すべきは、2025年のオフィス吸収量が164万㎡に達し、過去3番目の高水準を記録したことです。近年はリモートワークの普及によって「オフィス不要論」も語られてきました。しかし実際の市場データを見ると、企業はオフィスを縮小するだけでなく、より高品質なビルへの移転や統合を進めており、優良オフィスへの需要は依然として強い状況が続いています。
オフィス移転を検討しているバックオフィス担当者にとって、今回の調査結果は今後の移転戦略を考える上で非常に重要な指標となります。

東京23区のオフィス供給量は過去平均を下回る見通し

まず注目したいのは今後の供給量です。東京23区における2026年から2030年までの大規模オフィスビル供給量は、5年間合計で412万㎡と予測されています。
年度別では以下の通りです。

  • 2026年:99万㎡
  • 2027年:44万㎡
  • 2028年:67万㎡
  • 2029年:117万㎡
  • 2030年:84万㎡

年間平均では約82万㎡となり、1986年から2025年までの年間平均供給量102万㎡を下回る水準です。一見すると供給量は多く見えますが、長期的な市場平均と比較すると決して供給過多ではありません。そのため、「今後大量供給によって賃料が大幅に下がる」と期待するのは難しい状況と言えるでしょう。
特に都心5区では年間供給量が約75万㎡となり、過去10年平均を下回る見込みです。移転を検討している企業にとっては、良質なオフィスの獲得競争が今後も続く可能性が高いと考えられます。

オフィスビルの大型化が加速

今回の調査では、オフィスビルの大型化も鮮明になっています。2021年から2025年に竣工したオフィスビルの平均供給規模は5.6万㎡となり、1986年から1990年の約2倍の規模となりました。さらに今後竣工する物件を見ると、10万㎡を超える超大型ビルの割合が非常に高くなっています。2028年には供給量全体の94%が10万㎡超の大型物件になる見込みです。これは企業が単にオフィススペースを確保するだけでなく、

  1. BCP対策
  2. ESG対応
  3. 従業員エンゲージメント向上
  4. 採用力強化
  5. ブランド価値向上

といった経営課題をオフィスで解決しようとしていることの表れでもあります。近年の大型ビルは、最新の防災設備や環境性能に加え、ラウンジやカフェ、共創スペースなどを備えています。バックオフィス担当者は単純な賃料比較だけではなく、「オフィスが企業価値に与える影響」という視点で検討することが重要になっています。

供給の中心は日本橋・八重洲・京橋エリア

今後5年間で最も多くの供給が予定されているのは、日本橋・八重洲・京橋エリアです。供給面積は約105万㎡で全体の25%を占めています。続いて、

  1. 日本橋・八重洲・京橋エリア(105万㎡)
  2. 丸の内・大手町・有楽町エリア(84万㎡)
  3. 田町・浜松町エリア(41万㎡)

という順になっています。特に東京駅周辺では、

  • TOKYO TORCH
  • 八重洲再開発
  • 日本橋再開発

など大型プロジェクトが相次いで進行しています。
また田町・浜松町エリアでは、BLUE FRONT SHIBAURAをはじめとする再開発が進んでおり、従来のバックオフィス集積地から、より高機能なビジネスエリアへ進化しつつあります。今後の移転先候補として検討する企業も増えるでしょう。

空室率は2.3%まで低下 需要は想定以上に強い

今回の調査で最も注目すべきポイントは空室率です。2025年末時点の東京23区の空室率は2.3%となり、3年連続で低下しました。
主要ビジネスエリアに限定すると1.5%まで低下しています。一般的にオフィス市場では空室率5%前後が均衡状態とされています。それと比較すると、現在の東京市場は極めてタイトな需給環境と言えます。さらに2025年の吸収量164万㎡は、同年の供給量117万㎡を大幅に上回りました。
新たに供給されたオフィスが市場に出ても、ほぼ同時にテナントが埋まっている状況です。これは企業のオフィス需要が依然として高いことを示しています。特に主要ビジネスエリアでは、供給されたオフィスのほぼ全てが吸収されており、人気エリアでは引き続き争奪戦が続くと予想されます。

バックオフィス担当者が今から考えるべき移転戦略

今回の市場データから見えてくるのは、「待てば条件が良くなる市場ではない」ということです。
供給量は一定程度あるものの、需要も非常に強く、空室率は低水準を維持しています。そのため、

  • 更新時期の2〜3年前から情報収集を始める
  • 再開発エリアを早期に検討する
  • セットアップオフィスも選択肢に入れる
  • 本社機能とバックオフィス機能を分散配置する

といった戦略的な検討が必要になります。特に2028年以降は東京駅周辺や田町・浜松町エリアで大型供給が続くため、将来の組織拡大も見据えた移転計画が重要になるでしょう。

担当マーケターの視点

今回の調査結果から感じるのは、「オフィスが再び経営資産として評価され始めている」という点です。コロナ禍ではリモートワークが主流となり、オフィス縮小がトレンドとなりました。しかし現在は、優秀な人材の採用・定着や企業文化の醸成、ブランド形成の観点から、オフィスの価値が見直されています。
マーケティングの世界でも、顧客体験(CX)だけでなく従業員体験(EX)が重要視されています。オフィスは単なる執務空間ではなく、企業ブランドを体現するメディアの一つになっています。特に採用市場が厳しさを増す中で、立地やオフィス環境は求職者の志望度に大きく影響します。
今回の高い吸収量は、「企業が良いオフィスに投資する時代」が本格的に到来したことを示しているのではないでしょうか。バックオフィス担当者は賃料や面積だけで判断するのではなく、「このオフィスが採用力や企業価値向上にどれだけ寄与するか」という投資視点を持つことが、これからのオフィス戦略において重要になると考えます。

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