東京23区のオフィス空室率、1.85%に低下 都心回帰で需給が引き締まりへ

株式会社ザイマックス不動産総合研究所が発表した「オフィス空室マンスリーレポート(2025年9月)」によると、東京23区のオフィス空室率は1.85%となり、前月比で0.03ポイント低下しました。空室率の低下は、オフィス需要の回復傾向が続いていることを示しています。
今回の調査は、延床面積300坪以上のオフィスビルを対象に行われたもので、募集面積率(賃貸面積に占める募集面積の割合)も2.81%と前月から0.08ポイント低下しました。都心部を中心に新規入居や増床の動きが続き、供給よりも需要が上回る状況が見られます。
■ 都心5区では1.42%まで低下 特に千代田区・渋谷区で堅調
エリア別で見ると、都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の空室率は1.42%(前月比0.07ポイント低下)と、引き続き低水準を維持しました。一方で、周辺18区は3.18%(同0.10ポイント上昇)とわずかに上昇しており、都心と郊外エリアの差が広がっています。
都心5区の内訳をみると、
- 中央区:2.13%(0.15pt低下)
- 港区:1.53%(0.07pt低下)
- 新宿区:1.37%(0.04pt上昇)
- 渋谷区:1.18%(0.07pt低下)
- 千代田区:0.89%(0.06pt低下)
と、千代田区の空室率が1%を切る水準まで下がっており、再び「超人気オフィスエリア」としての地位を固めています。渋谷区でもスタートアップやテック系企業の増加により稼働率が高まり、港区・中央区もグローバル企業や外資系の動きが活発です。
■ 中小規模ビルが堅調、テナントニーズの細分化が進む
規模別では、大規模ビル(延床5,000坪以上)の空室率が1.66%(0.01pt上昇)とほぼ横ばい。一方、中小規模ビル(300〜5,000坪未満)は2.06%(0.08pt低下)と改善傾向を示しました。
特に中小規模のオフィスでは、ベンチャー企業や地方拠点を都内に持つ企業などからの引き合いが増加しています。ハイブリッド勤務の浸透により、「広すぎず・アクセスが良く・コストを抑えられる」オフィスへの移転需要が堅調です。
募集面積率でも、大規模ビルが2.61%(0.08pt低下)、中小規模ビルが3.06%(0.06pt低下)と、いずれも改善しています。これは、オフィスの入れ替わりが一定のサイクルで発生しながらも、需給バランスが取れていることを示しています。
■ 空室面積は3,000坪減少、オフィス市場の安定化が進む
東京23区全体での空室面積は14万3,000坪(前月比3,000坪減)と、引き続き減少。空室増減量では、空室の増加が2万4,000坪、減少が2万7,000坪となり、減少分が上回りました。
この動きは、企業の「再びオフィスへ」という意識の高まりを反映しています。コロナ禍で進んだリモートワークから、チームビルディングや生産性向上の観点でオフィス回帰の流れが続いており、特に利便性の高い都心部では空室率が1%台で安定する傾向が見られます。
■ オフィス移転を検討する企業にとっての示唆
今回の結果は、オフィス移転を検討する企業にとって「早めの検討・意思決定が鍵」であることを示唆しています。特に都心5区では空室が限られており、条件の良い物件は公開から短期間で成約に至るケースが増えています。
また、同時に注目されるのが中小規模ビルのリノベーション物件です。新築ビルが高騰する中、再生オフィスやフレキシブルオフィスを選ぶ企業が増加。立地や設備を重視しつつ、コストを抑えた移転戦略が求められています。
担当マーケターの視点
今回のデータから見えるのは、「都心回帰+効率志向の二極化」というトレンドです。
コロナ禍を経て、オフィスの必要性が再定義される中、企業は“広さより質”を重視する傾向を強めています。都心5区ではブランド力・交通利便性・採用への好影響を目的に移転需要が集中し、空室率は過去最低水準を維持しています。一方、郊外エリアや大型ビルでは、ハイブリッド勤務を見据えた分散型オフィスへの関心が高まっています。
バックオフィス担当者にとって、今後のポイントは「立地+柔軟性+費用対効果」。同時に、リノベーションビルや共用ラウンジ付きの中規模オフィスなど、従来の“坪単価基準”では測れない価値を見極める力が求められます。空室率の低下は、まさに“オフィス選び競争”の再開を意味しています。
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