【2026年4月】新宿の再開発はいつまで?2040年へのロードマップとオフィス市場への影響
新宿駅周辺では現在、西口・西南口・西新宿の3エリアにわたって大規模な再開発が同時進行しています。「いつ終わるのか」「どのビルに何が入るのか」「延期になる可能性はないのか」――オフィス移転を検討する法人担当者にとって、こうした疑問は意思決定の直前まで頭を悩ませるテーマです。
本記事では、全体スケジュールの整理からエリア別ビルスペック、延期リスクの構造的背景、賃料・不動産価格への影響、そして実際の移転タイミングの考え方まで、新宿の再開発に関わる情報を体系的に解説します。オフィス移転を有利に進めるための判断材料として、ぜひ最後までご覧ください。

新宿の再開発はいつまで続くのか|全体スケジュールと完成時期

新宿の再開発は、2018年に東京都が策定した「新宿グランドターミナル構想」を軸に、2040年代を見据えた長期プロジェクトとして動き出しています(※1)。オフィス移転を検討する法人担当者にとって、この先どのエリアがいつ変わるのかを把握することが、移転戦略の大前提です。
※1「新宿の拠点再整備方針~新宿グランドターミナルの一体的な再編~」新宿区
https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/toshikei01_000001_00018.html
グランドターミナル構想のもと2040年代まで段階的に進行
「新宿グランドターミナル構想」とは、新宿駅を中心に西新宿・代々木・歌舞伎町・新宿御苑の各エリアを歩行者デッキで繋ぎ、駅・駅前広場・駅ビルを一体的に再編するという都市計画の大方針です。東京都と新宿区が策定主体となり、鉄道事業者や大手デベロッパーが参画する官民一体の取り組みとして進行しています。
この構想の特徴は、単一の大型プロジェクトではなく、西口・西南口・西新宿という複数のエリアで複数の事業主体が並走しながら段階的に完成を目指している点にあります。そのため「新宿の再開発はいつ終わるのか」という問いに対しては、「2040年代に全体が概ね完成する見込み」というのが現時点での答えになります。ただし後述するように、一部プロジェクトでは計画の見直しが生じており、最終的な完了時期には流動性があることも念頭に置く必要があります。
主要プロジェクトの竣工時期を時系列で整理
現時点で公表されている主要4プロジェクトの竣工予定を時系列に並べると、以下のとおりです。
- 2026年8月:西新宿一丁目地区プロジェクト(明治安田生命ビル建て替え)
- 2029年度:新宿駅西口地区開発計画(小田急電鉄・東京メトロ・東急不動産)
- 2033年:西新宿三丁目西地区市街地再開発(野村不動産ほか)
- 2040年代:新宿駅西南口地区開発計画・北街区(京王電鉄・JR東日本)
西口地区の超高層ビル(高さ約260m)は2024年3月に新築着工済みであり、現在は工事が順調に進行しています。また西新宿三丁目西地区は、建設費高騰に伴う設計見直しの影響で、着工は2028年度、事業完了は2035年度へと計画が修正されています。約20年にわたる段階的な都市更新は、エリアの利便性と市場価値を継続的に押し上げる要因となります(※2)。
※2「【西新宿三丁目西再開発】事業費高騰で設計見直し、28年度着工に」建設通信新聞
https://www.kensetsunews.com/web-kan/1173956
西南口の南街区は「工期未定」に変更された
スケジュールの中で最も注目すべき変化が、新宿駅西南口地区の南街区における計画変更です。この南街区は京王電鉄とJR東日本が事業主体となり、高さ約225mの超高層複合ビルを建設する計画でした。当初は2023年度着工・2028年度竣工を目指していましたが、施工会社が決まらない状態が続いたことから、京王電鉄は2025年3月28日に工期完了時期を「未定」へと変更しました(※3)。
解体工事自体は複数の建設会社によって継続されており、プロジェクト自体が中止になったわけではありません。ただし新築工事の着工・竣工時期ともに現時点では「検討中のため未定」(JR東日本)とされており、具体的な再スケジュールの公表には至っていません。南街区の完成後に着手予定の北街区(京王百貨店が現在も営業中のエリア)についても、工期は従来どおり2040年代を見込んでいますが、南街区の遅延が北街区の開発着手時期に影響を与える可能性があります。オフィス移転を検討する際は、西南口エリアのスケジュール変動を引き続き注視することが重要です。
※3「京王電鉄、新宿再開発の工期未定に 施工会社決まらず」日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2874V0Y5A320C2000000/
※3「京王電鉄、新宿西口再開発の工期が未定に」Impress Watch
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2002365.html
西口・西南口・西新宿|エリア別に見る次世代ビルスペックと特徴

再開発によって新宿の各エリアに誕生するビルは、その規模・用途・特徴がそれぞれ異なります。オフィス移転を検討する企業が「どのビルに、どのような機能があるのか」を把握するために、エリア別にビルスペックを整理します。
【西口】小田急百貨店跡地に誕生する高さ約260mの超高層ビル
新宿駅西口の再開発における核心が、旧小田急百貨店本館の跡地に建設中の超高層複合ビルです。小田急電鉄・東京メトロ・東急不動産の3社共同事業(A区)として2024年3月に着工しており、地上48階・地下5階・最高高さ約260m・延床面積約281,700㎡という新宿エリア最高層の規模を誇ります(※4)。
フロア構成は、地下1階〜10階に商業施設、12〜13階にビジネス創発機能、14〜46階にオフィス、48階に商業施設という構成です。オフィスを核としながら、駅直結の利便性と商業・交流機能を複合させた設計となっています。地下1階〜地上1階には新宿駅の交通広場が整備され、東西・南北をつなぐ重層的な歩行者ネットワークが生まれます。また、A区のオフィス用途部分はBELS評価「ZEB Ready」を取得しており、環境性能の面でも高い基準を満たしています。
さらに小田急電鉄単独で進めるB区(地上8階・地下2階・高さ約50m・延床面積約28,000㎡)では、商業施設と駅施設が整備される予定です。A区・B区あわせた全体の竣工は2029年度が目標であり、完成後は新宿西口の顔つきが大きく変わることになります。
※4「『新宿駅西口地区開発計画』新築着工」小田急電鉄
https://www.odakyu.jp/news/b4fuqs0000000tzh-att/b4fuqs0000000tzo.pdf
【西南口】京王百貨店・ルミネエリアの再編と展望テラス
西南口エリアでは京王電鉄とJR東日本が共同で「新宿駅西南口地区開発計画」を進めています。京王百貨店のある北街区と、甲州街道を挟んだ南側の南街区に分かれており、プロジェクト全体で約1.9haを対象とします。
南街区に計画されているビルは、地上36階・地下4階・高さ約220m・延床面積約146,000㎡の超高層複合ビルです。商業・オフィス・宿泊施設(京王グループが手がける新ブランドの高級ホテル)が入居する予定です。また甲州街道をまたぐペデストリアンデッキを整備し、新宿駅南口方面(バスタ新宿方面)と西口方面を繋ぐ歩行者動線のハブとなる計画も盛り込まれています。
北街区は現在も営業中の京王百貨店があるエリアで、地上19階・地下3階・高さ約110m・延床面積約141,500㎡のビルへの建て替えが計画されています。主な用途は店舗・宿泊施設などです。南街区の工事完了後に着工する計画であり、エリア全体の形が整うのは2040年代となる見通しです。ただし南街区については施工会社の選定が難航しており、工期は現在「未定」の状態が続いています。
【西新宿】明治安田生命ビル建て替えによる駅直結オフィス
新宿エリアで最初に竣工を迎えるのが、「西新宿一丁目地区プロジェクト」です。旧明治安田生命新宿ビルの跡地に、地上23階・地下4階・高さ約126m・延床面積約96,900㎡の複合ビルが2026年8月の竣工を目指しています(※5)。
最大の特徴は新宿駅直結という立地にあります。オフィスフロアは4〜22階で、1フロアの専有面積は800坪超という大型規模です。低層部には約850坪の店舗、2階には約100坪のホール、さらに子育て支援施設や駐車場も設けられる複合施設です。また、自然換気口・太陽光発電・地域冷暖房・高効率設備の採用や屋上庭園(約260坪)の整備など、環境対応と快適性を兼ね備えた設計となっています。竣工後の運営・リーシングは森ビルが担う予定で、テナント企業にとっては大手デベロッパーによる安定した管理体制が整う点も魅力です。
※5「【新宿大型開発プロジェクト】明治安田生命新宿ビル新築工事着工のお知らせ」明治安田生命保険
https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/release/2021/pdf/20210802_01.pdf
約3,200戸の大規模マンションと商業施設
西新宿エリアでもう一つ注目すべきが、「西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発事業」です。施行区域面積は約4.6haに及び、野村不動産・住友商事・東京建物・首都圏不燃建築公社が参画する大規模プロジェクトです。
A-1街区北棟(高さ約229m)・南棟(高さ約228m)を軸に、住宅を主用途としながら事務所・商業施設・保育所・防災広場なども整備されます。総戸数は約3,200戸と新宿区内でも最大規模の住宅供給となる見込みで、商業施設の床面積は約24,000㎡に上ります。JR「新宿」駅と京王新線「初台」駅の間に位置し、初台駅から新宿駅方向(十二社通りまで)を結ぶ歩行者デッキの整備も計画に含まれています。このプロジェクトは直接的な大型オフィス供給ではありませんが、周辺の居住環境改善と人口増加を通じてエリア全体の商業・サービス需要を底上げし、新宿西部エリアの活性化に大きく寄与すると考えられます。着工は2026年予定、竣工は2033年を見込んでいます。
新宿の再開発が延期・中止になる可能性はあるか

一部プロジェクトですでに計画変更が生じている新宿の再開発ですが、その背景には建設業界全体の構造的な問題があります。同様の問題が他エリアでは計画の白紙化を招いた事例もあり、リスクの性質を正確に把握することが重要です。
建設コスト高騰と人手不足が招くスケジュールの見直し
新宿駅西南口地区の南街区において工期が「未定」となった直接の原因は、施工会社の選定が進まなかったことです。しかしその背後には、建設業界における構造的な問題があります。
建設業界では商慣習として、施工会社は契約金額を超えてコストが上昇した場合、その差分を自己負担することになっています。この慣習は「請け負け」とも呼ばれますが、近年の急激な資材価格・人件費の上昇により、そのリスクが以前と比較にならないほど大きくなっています。実際に現場では、使用する資材の価格が3年間で50%近く上昇したケースも報告されています。加えて、建設現場の職人不足も深刻で、本来10人必要な作業工程を7〜8人でこなさざるを得ない状況も生じています。こうした環境下では、施工会社が大型案件の受注を敬遠するケースが増えており、それが新宿西南口の入札難航にもつながっています。
ただし、新宿の主要プロジェクトの中でも西口地区(小田急電鉄・東京メトロ・東急不動産)は2024年3月にすでに着工済みであり、大手ゼネコンである大成建設が施工を担っています。また西新宿一丁目地区プロジェクトも2021年に着工済みです。着工済みプロジェクトについては、スケジュールの変動リスクは着工前のプロジェクトに比べて格段に低いといえます。
中野サンプラザの白紙撤回に見る他エリアとの共通課題
建設コスト高騰の影響を示す象徴的な事例が、東京都中野区の「中野サンプラザ」跡地再開発の頓挫です。当初約1,810億円と見込まれていた事業費が、資材費や労務費の高騰により約2倍の3,500億円超に膨張。事業者の野村不動産グループは費用削減のための代替案を提示しましたが、中野区との協議が折り合わず、2025年6月の区議会で事業者との基本協定解除が正式に可決されました(※6)。計画は事実上白紙となりましたが、その後新たな枠組みでの検討が進められており、現時点では2030年度の竣工を目指すスケジュールとなっています。
新宿の再開発と中野サンプラザの事例を比較すると、以下のような違いが浮かび上がります。
- 事業主体の性格:新宿西口は民間事業者(鉄道会社・デベロッパー)が主体。採算性を前提とした民間主導のため、事業者が撤退するインセンティブは比較的小さい
- 立地の優位性:世界最大の乗降者数を誇る新宿駅の直近であるため、テナント需要が確実に見込め、収益見通しが立てやすい
- 着工状況:西口地区は着工済みで工事が進行中。解体段階で頓挫した中野とは状況が異なる
- 官民連携:国土交通大臣による「優良な民間都市再生事業計画」認定を取得しており、公的支援が担保されている
一方で、西南口の南街区については施工会社が未定のまま解体工事が進行中という状態であり、引き続き注意が必要です。市場環境が大きく変化した場合には、計画内容の変更や規模の見直しが生じる可能性はゼロではありません。法人がオフィス移転の意思決定をする際は、特に西南口エリアについて最新情報を継続的に確認することをお勧めします。
※6「閉館から2年の中野サンプラザ再開発が白紙に、26年春に区が根拠計画の見直し案」日経クロステック
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/02463/
新宿の再開発による不動産価格・オフィス賃料への影響

大規模再開発は単なる建物の刷新にとどまらず、エリア全体の地価・賃料・マンション価格を動かす力を持ちます。新宿の再開発がオフィスマーケットや不動産市場にどのような影響を与えるのか、データをもとに整理します。
西新宿エリアの地価と賃料相場の上昇傾向
西新宿エリアは東京都心有数のオフィスエリアとして長年の実績を持ちますが、近年は再開発への期待感も加わり、地価・賃料ともに上昇傾向が鮮明になっています。新宿区全体の潜在空室率は2026年1月時点で2.79%まで低下しています。また都心主要5区の潜在空室率(2026年2月末時点)は2.08%と非常にタイトな状況が続いています。
賃料水準については、約21,698円程度で推移しており(※7)、東京23区の平均が約19,878円であることと同水準です。再開発による利便性向上・歩行者ネットワーク整備が進むにつれ、新宿エリアへの法人需要は今後さらに高まることが見込まれます。
※7 2026年4月1日時点で東京オフィスチェックに掲載中の46,989件の物件から該当エリアの物件賃料をもとに算出(かつ1985年以降に竣工のビルのみ)
新築オフィスの大量供給で空室率はどう変わるか
2026年の西新宿一丁目地区プロジェクト(オフィス部分約15,500坪)、2029年の西口地区A区(高層部オフィス)という形で、新宿エリアには大型新築オフィスが段階的に供給されます。大規模な新規供給は一時的に空室率を押し上げる要因になり得ますが、東京のオフィスマーケット全体の傾向として、スペックの高い新築ビルの需要は引き続き旺盛であり、竣工前後から埋まりが進むケースも多くみられます。
日本不動産研究所の予測では、東京ビジネス地区(都心5区)の空室率は2025年の約4.7%からさらに低下する見通しで、2028年まで賃料の上昇傾向が続くと分析されています。新宿エリアへの新規供給は「グレードアップ移転」の受け皿となる可能性が高く、既存ビルから新築高機能ビルへのテナント移動が促されることも予想されます。その場合、既存ビルでは一時的な空室増加が起きる一方で、市場全体の底上げにつながるというのが、過去の再開発エリアで繰り返されてきたパターンです。
再開発が周辺のマンション価格に与えるインパクト
オフィス市場だけでなく、住宅市場においても再開発の影響は顕著です。西新宿エリアは単身世帯の割合が高く、投資用ワンルームマンションへの需要が安定しています。再開発による利便性・周辺環境の向上は、特に駅近中古物件の資産価値を押し上げる傾向があります。
西新宿三丁目西地区では2033年に向けて約3,200戸の大規模新築マンション供給が予定されており、この大量供給は周辺エリアのマンション価格に対して競合圧力となる側面もあります。ただし、歩行者デッキの整備や商業施設の充実による居住環境の向上は、エリア全体の住宅需要を底上げする効果も持ちます。新宿駅から見て西側・北側エリアは、駅南東エリア(四谷・神楽坂方面)に比べて価格水準がやや低く、再開発による価値向上の余地が相対的に大きいと分析されています。
他の再開発エリアと比較して新宿は魅力的か
2020年代から2030年代にかけて、東京都心では品川・渋谷・虎ノ門・大手町など複数エリアで大規模再開発が進行しています。オフィス移転先として新宿を選ぶ優位性はどこにあるのでしょうか。
新宿の最大の強みは、世界最大の乗降者数を誇るターミナル性にあります。JR・東京メトロ・都営地下鉄・小田急・京王・西武と多路線が集結するため、採用面での首都圏全域からのアクセス優位性は、他のどの再開発エリアとも比較にならないレベルです。品川・虎ノ門エリアと比べると、新宿は「駅の巨大さゆえに複雑」というデメリットが指摘されてきましたが、今回の再開発によるデッキ・動線整備がこの課題の改善を目指しています。
渋谷エリアとは異なり、新宿では2026年・2029年に大型新築オフィスが竣工予定であるため、物件の選択肢が近い将来に増える見通しです。賃料水準は千代田区(40,000円/坪超)と比べて割安感があり、それでいて都内最高レベルのアクセス性を確保できる点は、コストパフォーマンスを重視する企業にとって魅力的な要素となっています。
新宿の再開発エリアへオフィス移転する際に知っておきたいこと

再開発の全体像を把握したうえで、実際にオフィス移転を検討する際にはどのような点に注意すればよいでしょうか。工事期間中の環境変化から移転タイミングの考え方、コスト比較まで、実務的な視点で整理します。
工事期間中のアクセスや周辺環境の変化に注意する
新宿駅周辺は現在も複数の大型工事が同時進行しており、今後数年は周辺環境が目まぐるしく変化し続けます。オフィス移転を検討する際は、竣工後の完成形だけでなく、移転直後の工事環境も想定に含めることが重要です。
具体的に留意すべき点を挙げると、以下のとおりです。
- 西口エリア:小田急・東京メトロ・東急不動産の新築工事が2029年まで継続。西口駅前広場の歩行者動線は工事の進捗に応じて随時変更されているため、取引先や来訪者へのルート案内に混乱が生じる可能性がある
- 西新宿一丁目地区プロジェクト:2026年8月に竣工予定だが、同ビルへの入居を検討する場合は引き渡し後のリーシング開始時期と自社の移転予定時期のすり合わせが必要
- 西新宿三丁目西地区:2026年着工予定のため、京王新線「初台」駅周辺では2026年以降に工事の影響が出始める見込み
- 西南口エリア:解体工事が現在も進行中で、周辺道路への工事車両の往来が続く状況。騒音・振動・粉塵などの影響も確認しておく必要がある
竣工時期から逆算した移転タイミングの考え方
新築ビルへの移転を希望する場合、竣工時期から逆算した計画立案が不可欠です。一般的にオフィス移転プロセスは、現オフィスの解約通知から引き渡しまで最低でも6〜12か月、大型オフィスの場合は18〜24か月前後のリードタイムを要します。
2026年8月竣工の西新宿一丁目地区プロジェクトを例に取ると、プレリーシング(竣工前の入居者募集)はすでに進んでいる段階と見られます。一方、2029年度竣工の西口地区A区については、現在まさにプレリーシング活動が本格化しつつある時期です。2026〜2027年にかけてが、竣工時入居を目指すテナントにとっての「意思決定の窓」となります。
移転タイミングを検討する際のポイントは以下のとおりです。
- 竣工スケジュールの確認:プロジェクトによっては延期リスクがあるため、常に最新情報を確認する
- プレリーシング情報の収集:新築ビルの募集開始情報はビル竣工の2〜3年前から動く場合がある
- 現オフィスの解約条件の把握:解約予告期間(6〜12か月が多い)を念頭に、移転先確定と解約通知のタイミングを逆算する
- 移転シーズンの競合:年度末(3月)は移転件数が集中するため、希望の竣工時期に重なる場合はテナント競争が激化する可能性がある
新築ビルと既存ビルのコスト比較で物件を選ぶ
再開発エリアへの移転を検討する際、新築ビルと既存ビルのどちらが自社に適しているかを費用面から比較することも大切です。新築ビルは当然ながら賃料水準が高くなる傾向がありますが、それだけでは判断できません。
新築ビルの主なメリットとしては、最新の空調・セキュリティ・IT配管環境が整備されており、追加投資が最小限で済む点があります。また省エネ性能(ZEB Ready等)の高さは光熱費の低減につながるほか、BCP(事業継続計画)の観点では最新の免震・制振構造を持つ点も評価されます。一方で新築ビルのデメリットとして、坪単価が既存ビルより割高になること、フリーレント(賃料免除期間)交渉の余地が既存ビルほど大きくないこと、竣工前のため内覧前に契約判断を迫られることがある点が挙げられます。
既存ビルに目を向けると、西新宿エリアには新宿三井ビル・住友不動産新宿グランドタワー・新宿アイランドタワーなど1フロア800坪超の大型ハイグレードビルが揃っており、そのほとんどが大規模修繕や設備更新を実施済みです。賃料水準は大型物件(200坪以上)で坪単価31,000〜32,000円程度(共益費込)が目安ですが、長期入居や大面積契約では条件交渉の余地があります。新築か既存かという二択ではなく、自社の移転時期・予算・必要床面積・BCP要件を整理したうえで、総コストで最適な選択をすることが重要です。新宿の再開発によって供給物件の幅が広がる時期を見定めながら、専門の仲介業者とともに複数の選択肢を並行検討することをお勧めします。
まとめ:新宿の再開発の全体像を把握し最適なオフィス戦略を立てよう
新宿の再開発は2026年から2040年代にかけて段階的に完成する長期プロジェクトであり、西口・西南口・西新宿の各エリアでビルスペック・完成時期・リスク水準が大きく異なります。着工済みの西口地区や西新宿一丁目地区は着実に進行している一方、西南口南街区は引き続き慎重な見極めが必要です。オフィス移転を検討する法人にとって重要なのは、竣工スケジュールから逆算した意思決定の窓を見逃さないことと、新築・既存の両選択肢をコストで比較する視点です。再開発の全体像を定期的にアップデートしながら、自社に最適な移転戦略を立てましょう。




