複数拠点のオフィス権限管理を一元化する次世代ビルセキュリティとは|三菱地所が顔認証セキュリティ「ReconIDs」を導入

顔認証でオフィスのセキュリティ管理を刷新

オフィス移転を検討する企業にとって、「セキュリティ」と「管理負荷の軽減」は重要な検討ポイントの一つです。こうした中、オフィスビルのセキュリティ管理の在り方を変える取り組みとして注目されているのが、三菱地所が開発した統合型権限管理システム「ReconIDs(レコナイズ)」です。同社は2024年、顔認証技術を活用した統合型セキュリティ管理システムの運用を開始しました。このシステムは、日本電気(NEC)との業務提携により共同開発されたものです。顔認証技術を活用することで、従来のICカードや暗証番号による認証の課題を解決し、より安全かつ効率的なオフィス管理を実現することを目的としています。

ICカード管理の課題を解決する新たな仕組み

多くのオフィスビルでは、ICカードによる入退館管理が一般的です。しかし、ICカード運用にはさまざまな課題が存在します。
例えば、

  • カードの紛失や盗難
  • なりすましによる不正利用
  • 複数カードの管理の煩雑さ

といった問題です。特に大型オフィスビルでは、共用部と専有部で異なるカードを使用するケースもあり、従業員が複数のカードを持ち歩く必要があります。また、管理部門にとっては、社員の入退館権限の登録や削除などの管理作業が大きな負担となっていました。
こうした課題を背景に、非接触で高精度な本人確認が可能な顔認証技術が注目されています。感染症対策の観点からも接触を減らせること、さらに高いセキュリティ精度を確保できることが評価されています。

ビル管理会社とテナントの役割を分担

ReconIDsの大きな特徴は、ビル管理会社とテナント企業の役割を明確に分けた権限管理の仕組みにあります。
ビル所有者や管理会社は、共用部のセキュリティ権限を管理し、テナント企業ごとに必要な権限を付与します。一方で、各テナント企業は自社従業員の顔情報やアクセス権限を独自に登録・管理できる仕組みになっています。この方式により、ビル管理側がテナント従業員の個人情報を直接扱う必要がなくなります。結果として、プライバシー保護の強化と管理業務の効率化を同時に実現できます。バックオフィス部門の視点では、「セキュリティ強化」と「人事・総務の業務削減」を両立できる仕組みとして評価できるポイントです。

複数拠点のセキュリティを一元管理

ReconIDsはクラウド上で顔情報や権限情報を管理するため、複数のビルや拠点をまたいだセキュリティ管理が可能です。例えば、複数のオフィスを持つ企業の場合、これまではビルごとに異なる入館システムを管理する必要がありました。しかしReconIDsでは、1つのアカウントで複数拠点のセキュリティ権限を統合管理できます。
さらに、

  • ネットワーク経由で遠隔登録
  • 社員本人による顔写真登録
  • クラウド管理によるセキュリティ強化

といった機能も備えており、管理部門の負担を大幅に軽減する設計となっています。

三菱地所グループで先行導入

現在、このシステムは三菱地所グループ内で先行導入が進められています。まず、三菱地所プロパティマネジメントの本社オフィスの専有部セキュリティに導入され、実際の運用が開始されました。また、2024年2月には三菱地所本社およびグループ社員が利用するグループオフィス「MIX丸の内」にも導入されています。
これにより、複数拠点をまたいだセキュリティ運用の実証が進められており、今後は三菱地所グループが管理するビルへ順次導入が拡大される予定です。さらに、2027年には外部企業への提供も本格化する計画となっています。

オフィス選びの新しい評価基準へ

近年、オフィス選びの基準は「立地」や「賃料」だけではなく、「スマートビル化」や「DX対応」が重要な要素になりつつあります。顔認証やクラウド型セキュリティ管理などの仕組みは、バックオフィス業務の効率化だけでなく、企業全体のリスク管理や働き方改革にも直結します。今後は、オフィスビル自体がデジタルインフラとして機能するかどうかが、移転先選定の大きなポイントになっていく可能性があります。

担当マーケターの視点

今回のReconIDsは、単なるセキュリティシステムではなく「オフィスビルのプラットフォーム化」を示す取り組みだと感じます。従来、ビルは空間を提供するインフラでしたが、今後はデータや認証基盤を提供する「デジタルインフラ」へ進化していく可能性があります。特に顔認証はスマートビルの基盤技術として世界的に普及が進んでおり、入退館管理だけでなく、会議室予約や決済、社員ID連携など多様なサービスとの接続が期待されます。三菱地所がグループ標準として導入を進める背景には、将来的な不動産サービスの高度化という戦略があると考えられます。オフィス移転を検討する企業にとっても、こうしたDXインフラを備えたビルを選ぶことが、業務効率や企業価値の向上につながる重要な判断軸になっていくでしょう。

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