東京23区のオフィス空室率は1.59%に上昇|移転検討企業が今押さえるべき市場動向と判断ポイント


オフィス移転を検討するバックオフィス担当者にとって、市況データは意思決定の重要な判断材料です。2026年1月、ザイマックス総研が発表した「オフィス空室マンスリーレポート」によると、東京23区のオフィス空室率は1.59%となり、前月から0.04ポイント上昇しました。
依然として低水準ではあるものの、エリアや規模別に見ると、移転戦略を考えるうえで見逃せない変化が表れています。

全体市況:低空室率だが、わずかな変化が示す兆し

今回の調査対象は、東京23区内の延床面積300坪以上のオフィスビルです。空室率1.59%という数値は、歴史的に見ても引き続きタイトな需給環境にあります。一方、募集面積率は2.64%と、こちらも前月比で0.04ポイント上昇しています。
これは「完全に埋まっているビルは多いが、条件次第で選択肢が出始めている」状態を示しており、特に移転時期や条件交渉を検討する企業にとっては、静かな転換点とも言えます。

都心5区と周辺18区で広がる差

エリア別に見ると、都心5区の空室率は1.21%、周辺18区は2.76%と、引き続き明確な差があります。都心5区では、港区が1.56%と最も高く、次いで中央区が1.42%となりました。一方、千代田区は0.68%と依然として極めて低水準です。
注目すべきは、新宿区の空室率が1.15%と前月から低下している点です。再開発やビルの競争力向上により、立地と賃料のバランスを評価する企業が増えている可能性が考えられます。
周辺18区では、募集面積率が4.14%と前月比で大きく上昇しました。これは、コスト重視や分散拠点を検討する企業にとって、現実的な選択肢が増えつつあることを意味します。

規模別では中小規模ビルの空室増が目立つ

規模別に見ると、大規模ビルの空室率は1.32%、中小規模ビルは1.90%と、中小規模ビルの方がやや高い水準です。空室率・募集面積率ともに中小規模ビルの上昇幅が大きく、立地や築年数による二極化が進んでいることがうかがえます。
バックオフィス視点では、「広さを抑えつつ、立地や設備を見直す」といった戦略が取りやすい局面に入りつつあると言えるでしょう。

数字の裏にある「選べる移転」の兆し

空室面積は10万8,000坪と増加傾向にあり、空室増減量を見ると、増加量が減少量を上回っています。これは、市場全体が急激に緩和しているわけではないものの、企業側が条件を吟味できる余地が少しずつ広がっていることを示しています。

担当マーケターの視点

今回の空室率1.59%という数字は、一見すると「相変わらず空きがない市場」に映ります。しかしマーケティング視点で見ると、重要なのは絶対値ではなく“変化の方向”です。募集面積率の上昇や周辺区・中小規模ビルの空室増は、オフィスが「選ばれる存在」へと移行し始めている兆候だと感じます。バックオフィスにとっては、単なる賃料比較ではなく、立地・規模・働き方との整合性を軸に、戦略的に移転を設計できるフェーズに入りつつあります。今後は「いつ動くか」だけでなく、「どの条件を優先するか」を明確にすることが、移転成功の分かれ目になるでしょう。

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