リモートワークの行き着く先|米国オフィス危機から学ぶ、日本企業のオフィス移転判断


米国のオフィス市場が、歴史的な転換点を迎えています。2025年第2四半期時点で、米国全体のオフィス空室率は20.7%に達しました。これは統計開始以来の最高水準であり、リーマンショック時や1980年代のS&L危機をも上回る深刻な数字です。一方、日本の主要都市では空室率が2〜3%台と低水準を維持しており、同じ「先進国」でありながら、オフィス市場の様相は大きく異なっています。

この差を生んだ最大の要因は、リモートワークの定着度合いです。米国ではコロナ禍を契機にリモートワークが恒常化し、多くの企業が出社義務を緩和しました。結果として、企業はオフィス面積を縮小し、都市部の大型オフィスビルは深刻な空室に直面しています。サンフランシスコでは空室率が27.7%、ニューヨーク中心部でも23%と、都市の象徴的エリアでさえ需要が戻っていません。

一方、日本では事情が異なります。テレワーク実施率は22.5%にとどまり、週1日以下が半数を占めています。XYMAX総研の調査では、オフィスを「拡張した企業」が「縮小した企業」を上回り、需要はむしろ純増しています。対面での意思決定やチームワークを重視する企業文化が、オフィス回帰を後押ししていると言えるでしょう。

しかし、米国の問題は空室率だけではありません。2027年末までに、約2,900億ドル(約44兆円)規模のオフィス関連ローンが満期を迎えます。その多くは、パンデミック前の高い不動産評価額を前提に組成されたものです。現在、オフィス資産価値はピーク時から30〜35%下落しており、借り換えが困難な案件が急増しています。

その影響は金融機関にも波及しています。オフィス担保証券(CMBS)の延滞率は急上昇し、地方銀行の商業不動産ローン延滞率も拡大しています。さらに、オフィス価値の下落は固定資産税収の減少を招き、自治体財政を圧迫。公共サービスの質低下が都市の魅力を損ない、さらなる企業流出を招くという悪循環が現実味を帯びています。

こうした危機に対し、米国不動産業界は生き残りをかけた戦略転換を進めています。1つは、オフィスから住宅への用途転換です。老朽化したオフィスを住宅へと再生する動きは加速しており、2025年には約7万7,000戸の住宅供給が見込まれています。ただし、構造上の制約や高い改修コストから、すべてのオフィスが転用できるわけではありません。

もう1つの潮流が、データセンターや物流施設への資本シフトです。AI需要の拡大を背景に、電力と通信インフラを備えた不動産への投資が急増しています。オフィス市場の低迷とは対照的に、デジタルインフラは長期安定収益が見込める成長分野として注目されています。

この米国の動きは、日本でオフィス移転を検討するバックオフィスにとっても重要な示唆を与えます。日本市場が堅調であるからこそ、「今後も同じ前提で良いのか」「自社にとってオフィスはどんな役割を担うのか」を中長期視点で考える必要があるのです。

担当マーケターの視点

今回のニュースは、オフィスが「コスト」ではなく「戦略資産」であることを改めて浮き彫りにしています。米国ではリモートワークを前提にオフィスの役割を再定義できなかった企業が、結果として不動産リスクを抱え込みました。一方、日本では出社回帰が進む中で、オフィスは単なる作業場ではなく、採用力や企業ブランドを高めるマーケティング装置としての価値が高まっています。バックオフィスが担うべき役割は、賃料や面積の最適化だけでなく、「このオフィスは社員や求職者にどんな体験を提供するのか」を言語化し、経営に提示することです。米国の失敗は、日本企業にとって未来を先取りするための貴重な教材であり、今こそオフィス戦略を経営・人事・マーケティングの観点で再設計する好機だと感じます。

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