丸の内エリアのオフィス戦略に変化 JR東日本がグラントウキョウサウスタワーを取得した理由

JR東日本グループが、東京駅直結の大型オフィスビル「グラントウキョウサウスタワー」(千代田区丸の内)の一部フロアをゴールドマン・サックスグループから取得したことが明らかになりました。取得対象は14階から18階部分で、取引額は500億円超に上るとされています。2024年6月30日に取引が完了したことが登記簿から確認されています。
同ビルは2007年竣工、地上42階・地下4階建ての大規模物件で、東京駅に直結していることが最大の特徴です。丸の内エリアの商業施設や他のオフィスビルにも近く、地方都市へのアクセスも良好なため、企業の本社・拠点機能を集約する立地として高い人気を誇っています。JR東日本グループは元々このビルの主な開発者であり、複数フロアの区分所有権を保有してきましたが、今回さらに所有比率を高めることで、自社の不動産ビジネス強化を進める狙いがあります。
JR東日本は少子高齢化やライフスタイルの変化に伴う鉄道収益の先細りを背景に、中期経営計画で「収益構造の変革」を掲げています。不動産関連ビジネスの拡大はその中核施策のひとつで、運用資産は2031年度末までに約1兆円規模へ拡大する方針です。2021年には不動産アセットマネジメント事業に参入、2023年には私募REITを組成し、2024年7月には不動産取得や開発、再投資を担う「JR東日本不動産」を設立するなど、収益源の多角化を進めています。
グラントウキョウサウスタワーのような「駅直結・大規模オフィス」は、出社回帰やハイブリッドワークの浸透により再び注目度が高まっています。移転を検討する企業にとっても、交通利便性やブランド価値が社員の出社意欲や採用力強化に直結するため、東京駅直結物件の需要は今後も底堅いと考えられます。
JR東日本が進める「回転型ビジネス」も特徴的です。所有物件を一定期間後に売却し、得た資金を新たな不動産開発へ再投資する仕組みで、鉄道事業で培った長期的視野を不動産領域に活用しています。今回の取得も、将来の再開発やテナント誘致を見据えた戦略的な動きとみられます。
担当マーケターの視点
今回のJR東日本によるグラントウキョウサウスタワーの一部取得は、企業のオフィス戦略にとって示唆に富んでいます。東京駅直結という圧倒的な立地価値は、テレワーク普及後の「オフィスの役割再定義」において、社員同士の交流促進や顧客来訪時の利便性、ブランド力の強化といった多面的な効果をもたらします。移転検討中のバックオフィス担当者にとっては、「単なる面積や賃料」だけでなく、立地やビルのブランド・開発主体の信頼性まで含めた総合的な価値評価が不可欠です。さらにJR東日本のように、資産を回転させながら事業を進化させるモデルは、オフィスの“持ち方”に柔軟性を持たせる発想にも通じます。今後は、交通結節点かつ高付加価値機能を備えたビルが、企業の競争力向上に直結する「戦略的拠点」として一層重要視されるでしょう。
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