出社回帰時代に求められるオフィスの「最適解」三菱地所の実験的アプローチとは?

コロナ禍を経て、企業の働き方は大きく変わりました。リモートワークが定着した一方で、近年は「出社回帰」の動きが強まり、オフィスの役割が再び注目されています。社員同士のコミュニケーションや一体感を取り戻すため、多くの企業がオフィス戦略の見直しを進めています。
その中で、三菱地所は2018年の本社移転を機に、自社オフィスを“実験場”として活用し、時代の変化に対応したオフィス改革を続けてきました。移転当初は固定席や部署ごとの分断が当たり前でしたが、新しいオフィスではフロア全体を柔軟に使えるレイアウトを採用。さらに、毎年社員アンケートを実施し、結果を反映した改修を繰り返しています。
アンケートの回答率は約7割と高く、社員のリアルな声を基にした改善が進められています。こうした取り組みにより、出社率は約6割まで回復。オフィスに「出社したくなる価値」を生み出すことが、企業文化の維持に直結しているのです。
さらに、三菱地所は得られたデータを顧客提案に活用。オフィス移転やリニューアルの相談は2019年比で約3倍に増加しています。顧客には「一度で正解を求めない」柔軟なオフィス戦略を提案し、自社の実体験をショールームとして提供。訪れた企業が具体的なイメージを描けるようサポートしています。
加えて、オフィス機能を単独で整備するのではなく、街単位でのシェアリングも推進。常盤橋タワーの「シェア社食」や大手町ビルの休養室シェア事業など、複数企業で機能を共有できる仕組みを導入しています。これにより、コストを抑えながら利便性を高め、オフィスビル全体の競争力を強化しています。
丸の内エリアの空室率は1.73%と低水準を維持し、三菱地所の2024年度営業利益は過去最高を更新しました。自社オフィスを「コスト」ではなく「投資」として捉え、成果を顧客提案に循環させる戦略は、出社回帰時代における新たな成功モデルといえるでしょう。
担当マーケターの視点
今回の三菱地所の事例は、オフィス移転を検討する企業にとって示唆に富んでいます。特に重要なのは、オフィス戦略を“一度きり”で完結させないことです。コロナ禍やリモートワークの普及を経て、働き方は常に変化しています。そのため、オフィスを「固定化した空間」ではなく「進化し続けるプラットフォーム」と捉えることが求められます。
また、三菱地所が自社オフィスを顧客に公開し、体験を通じた提案に結びつけている点は、非常に強力なマーケティング手法です。単なるカタログや図面ではなく、リアルな使用事例を見せることで、顧客は自社に最適化した形を想像しやすくなります。これはオフィス仲介やデベロッパーにとって大きな差別化要因となるでしょう。
さらに、「街単位で機能を共有する」という発想も注目です。コストを分散しながら高付加価値を提供するモデルは、今後のオフィス選びの基準になり得ます。企業は今後、“BCP対応”や“従業員体験”を重視したオフィス戦略を練る中で、こうした新しい価値を取り入れることが重要です。
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