Z世代が求める最新オフィスとは?共用部・ウェルネス機能で出社意欲を高める戦略


コロナ禍を経てリモートワークが普及しましたが、近年は「出社回帰」の流れが見られます。しかし、Z世代を中心とした若手社員にとって、オフィスは「疲れる場所」というイメージが根強いのも事実です。こうした課題に対し、デベロッパーが提案するのが「働き方の選択肢を広げるオフィス」です。その代表例が、東京・芝浦に誕生した「BLUE SKY LOUNGE」を擁する新オフィスビルです。

このオフィスの共用部は、従来の概念を覆す広さと多様性を備えています。東京湾を一望できるバケーションエリアや屋外テラス、緑に包まれたラウンジエリア、コミュニケーションを重視した共創エリアなど、目的や気分に応じて選べる空間が充実。さらに、フィットネスジムやサウナ、岩盤浴まで備えたウェルネスエリアもあり、まるでリゾート施設のような環境で働けます。

しかし、デザインや設備だけでは利用が進まないという課題も。そこで導入されたのが、ユーザーの行動を後押しする専用アプリです。このアプリでは、用途や気分に応じたワークスペースの予約ができるほか、バイタルデータを活用したレコメンド機能を搭載。例えば、スマホカメラで10秒計測したデータから、その日のコンディションに合わせて「リラックスできるエリア」や「おすすめの食事・運動」を提案します。これにより「サボっていると思われそう」という心理的ハードルを下げ、自然に多様な空間を活用できる仕組みが整いました。

この取り組みは、単に出社率を上げるためではなく「生産性の向上と健康経営の推進」を目的としています。オフィスが「疲れる場所」から「元気になれる場所」へと変わることで、社員の健康意識や働くモチベーションが高まり、企業全体の価値向上にもつながります。こうした仕組みを備えたビルは、今後のオフィス戦略において大きな選択肢になるでしょう。

担当マーケターの視点

この事例は、オフィスを「単なる働く場所」から「ブランド体験を提供する空間」に進化させる好例です。特にZ世代は、働く場所に利便性や快適性だけでなく「自分らしい働き方」を求めています。そのニーズに応えるため、物理的な設備だけでなく、アプリを活用したパーソナライズ体験を組み込む点は非常に戦略的です。

マーケティング視点で注目すべきは、こうした取り組みがオフィス選びにおける「決定要因」になり得ることです。健康経営やウェルビーイングの推進は企業の採用力やブランド価値に直結するため、オフィスビル側は差別化要素として訴求できます。一方、テナント企業は、この付加価値を自社のカルチャー発信や従業員満足度向上に活用できるでしょう。今後は「設備の豪華さ」だけでなく、「どれだけ働き方をパーソナライズできるか」が競争軸になっていくと考えられます。

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