ハイブリッドワーク時代の「セットアップオフィス」活用術|メリット・デメリットと選び方を解説

働き方の多様化に伴い、オフィスのあり方も大きく変化しています。特に注目されているのが、出社とリモートワークを組み合わせる「ハイブリッドワーク」と、内装や什器などがあらかじめ整備された「セットアップオフィス」の組み合わせです。
従来のように「社員全員が毎日出社する」ことを前提としたオフィスではなく、出社時のコミュニケーションやWeb会議などに重点を置いたオフィスへ移行する企業が増えています。
一方で、通常の賃貸オフィスを契約して自社で内装工事を行う場合、まとまった初期費用と工事期間が必要です。そこで、ハイブリッドワークに適した環境を短期間で整備できるセットアップオフィスが、バックオフィス担当者からも注目されています。
本記事では、ハイブリッドワークとセットアップオフィスの相性やメリット・デメリット、オフィス移転時の注意点について解説します。
ハイブリッドワークとセットアップオフィスの相性が良い理由
ハイブリッドワークが定着すると、オフィスに求められる役割は変わります。
全員分の固定席を用意することよりも、出社した社員が円滑にコミュニケーションできるスペースや、オンライン会議に集中できる環境などが重要になります。
例えば、出社率が70%程度の企業であれば、社員数と同じ数のデスクを用意する必要はありません。その一方で、会議室やラウンジ、フォンブースなどは、出社時の利用が集中する可能性があります。
セットアップオフィスには、こうした現在の働き方を意識して、デスク・チェア、会議室、Web会議用ブース、ラウンジなどがあらかじめ設置されている物件があります。
内装工事や什器選定を一から行わなくても、入居後すぐに業務を始められる点が大きな特徴です。
セットアップオフィスを利用する3つのメリット
1. 初期費用と移転業務の負担を抑えられる
一般的なオフィス移転では、内装設計、工事、家具・什器の購入、会議室の設置など、多くの業務が発生します。
特にバックオフィス担当者が移転業務を兼任する場合、本来の業務と並行して移転プロジェクトを進めなければなりません。
セットアップオフィスなら、必要な設備があらかじめ用意されているため、こうした負担を大幅に軽減できます。内装工事にかかる初期費用を抑えられるケースもあり、資金を人材採用や事業投資などに回しやすくなります。
2. 出社時のコミュニケーションを活性化できる
ハイブリッドワークでは、社員が同じ場所に集まる機会そのものの価値が高まります。
そのため、単純に「仕事をするための席」を並べるだけではなく、気軽に会話できるラウンジや、チームで打ち合わせできるスペースなどが重要になります。
デザイン性の高いセットアップオフィスでは、執務スペースとコミュニケーションスペースを適切にゾーニングしている物件もあります。
出社した社員同士が自然に交流できる環境をつくることで、情報共有やアイデア創出を促進する効果も期待できます。
3. 働き方や事業規模の変化に対応しやすい
スタートアップや成長企業では、従業員数が短期間で増減することがあります。
「現在は20人だが、1年後には30人になる」「事業方針が変わり、オフィスの必要面積を縮小したい」といったケースも珍しくありません。
セットアップオフィスは、一般的なオフィスと比較して移転や入退去の負担を抑えやすい物件があります。企業の成長フェーズに合わせてオフィスを見直しやすい点は、大きなメリットです。
セットアップオフィスにはデメリットも
一方、セットアップオフィスならどの企業にも適しているわけではありません。移転を検討する際は、メリットだけでなく以下のポイントも確認しましょう。
賃料が割高になる場合がある
内装や什器などの設備費用をオーナー側が負担しているため、一般的なオフィスと比較して坪単価が高く設定される場合があります。
そのため、「初期費用が安いからお得」と単純に判断するのは禁物です。
初期費用+月額賃料+契約期間中の総コストで比較することが重要です。
例えば5年間利用する場合、初期費用を抑える代わりに月額賃料が高くなる物件と、初期費用はかかるものの月額賃料が安い通常オフィスのどちらが有利なのかを試算する必要があります。
自社の働き方に合わない可能性がある
セットアップオフィスは、あらかじめレイアウトや設備が決められています。
そのため、フォンブースの数が足りない、会議室が多すぎる、特殊な機材を置くスペースがないなど、自社の業務内容と合わないケースもあります。
契約前には、社員の出社率や会議の頻度、オンライン会議の利用状況などを整理しておきましょう。
出社日に「席が足りない」リスクも
ハイブリッドワークでは、平均出社率だけを基準にオフィス面積を決めると危険です。
例えば通常の出社率が60~70%でも、全社会議や部署ごとの出社日には80~90%まで出社率が上昇する可能性があります。
「平均的には足りる」ではなく、出社が集中した場合にも対応できるかを確認することが大切です。
オフィス移転時に確認したいポイント
ハイブリッドワークを前提にセットアップオフィスを選ぶ場合、まず現在の社員数ではなく「実際のオフィス利用状況」を把握しましょう。
具体的には、以下の項目を確認します。
- 平均出社率・曜日別の出社率
- 固定席とフリーアドレスの割合
- 会議室の利用頻度
- Web会議の同時利用数
- 集中作業とコミュニケーションの必要スペース
- 今後の採用・人員増加の予定
- 契約期間と将来的な移転可能性
特に重要なのが「誰が、いつ、何のためにオフィスを使うのか」という視点です。
単純に社員数から坪数を算出するのではなく、実際の働き方から必要なスペースを逆算することで、余剰スペースや席不足を防ぎやすくなります。
まとめ
ハイブリッドワークの普及によって、オフィスは「全員が働く場所」から「出社することで価値を生み出す場所」へと役割を変えつつあります。その中で、内装や什器、会議室、Web会議ブースなどが整ったセットアップオフィスは、初期費用や移転業務の負担を抑えながら、現代の働き方に対応できる選択肢です。
一方で、賃料が割高になる場合や、既存のレイアウトが自社の働き方に合わない可能性もあります。
バックオフィス担当者が物件を選ぶ際は、「何坪必要か」だけではなく、出社率・コミュニケーション・Web会議・将来の人員増加まで含めて、自社に必要なオフィス機能を整理することが重要です。
担当マーケターの視点から
マーケティングの観点から見ると、ハイブリッドワークとセットアップオフィスの組み合わせは、単なる「移転コスト削減策」ではなく、企業のブランド戦略として考える余地があります。現在の求職者にとって、オフィスは企業の働き方やカルチャーを体感できる重要な接点です。特に採用競争が激しい企業では、デザイン性の高いラウンジやコミュニケーションスペース、快適なWeb会議環境などが、採用候補者に与える印象を左右します。また、ハイブリッドワークでは出社そのものに「意味」を持たせることが重要です。そのため、移転先を選ぶ際には「何人収容できるか」だけではなく、「社員が出社したくなるか」「社員同士の交流が生まれるか」「企業らしさを表現できるか」という視点も必要でしょう。セットアップオフィスは、コスト・スピード・働き方・採用を同時に考えられる選択肢として、今後さらに存在感を高めると考えられます。
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